2018年8月4日土曜日

「定着率が高い」は本当に良いことか?

北野です。

先日の訪問時に会員様で、
タイトルのような議論をしました。

定着率と言っても、

特定の期間内の数値なのか、
生涯での数値なのか、
職種ごとの数値なのか、
入社年数ごとの数値なのか、

色々な解釈ができます。


また、
どんなに素晴らしい組織であっても
残念ながら一定数は

モチベーションの低いメンバー
組織の発展についてこれないメンバー

が出てきてしまいます。


当然そういったメンバーを
引き上げることも必要ですし、
人が育つのを待つということも
考えられますが、

組織の発展を遅らせることにも
繋がりかねません。

つまり、
定着率が高いということは、
問題あるメンバーが残り続けており、
組織の適切な発展を妨げている状態

である可能性もあるのです。

そのため、
組織の発展を考えるなら
新陳代謝とも言うべき
一定の定着率低下は
必要であると考えます。


勢いのある病院様で
よくある話しとして、
創業5年目を迎える頃に、

創業メンバーの中から

現場業務はとてもできるが、
先輩としての管理業務ができない
組織内での立ち位置を勘違いする

というようなメンバーが
出てくることがあり、
このメンバーの影響による

新人スタッフの退職
新しい取組への拒否反応
旧来の慣習の横行

などが
発生し始めることがあります。

大切なメンバーですし、
変化を促しサポートすることは
当然必要ですが、
本人の考え方を変えさせることは、
かなりの労力と時間を要します。

こういった場合に、

定着率低下を恐れ
立ち止まるのか、

発展のための代償と割り切り
進めるのか

によって、
発展スピードは
大きく変化します。

また、
メンバーに見切りをつけることに、
罪悪感を感じる方が
いらっしゃるかもしれません。

人にはコンフォートゾーンともいえる、
属していて心地よい環境があります。

つまり、
前述の創業メンバーにとって、

創業時の環境は
心地よい環境であったにも関わらず、
発展していくことで、
心地悪い環境に変化していったとも言えます。

そう考えると
今の組織に留まらせるより、
転職などで、
心地よさを感じられる組織に
移らせてあげることが
このメンバーにとっての幸せでもあると、
捉えることもできます。

変化を求めることが、
必ずしも本人のためになるわけでは
ないということです。


こういった点を踏まえて
定着率を考えると、

(1)新人定着率(入社3年目まで)
(2)中堅以上定着率(入社4年目以降)

というように分けて考えられます。

新人定着率が低いことは、
採用のミスマッチ
教育体制の不備

などが考えられるため、
病院側に改善が必要です。


一方で、
中堅以上定着率については、
組織の発展への順応
求められる立場・役割への順応

などメンバー側の要因もあるため、
病院側だけでなく、
メンバー側の改善も必要になります。


自院の定着率を考えるとき、
このような視点を持っていただきたいと

考えています。