2022年3月25日金曜日

成長イメージの共有

北野です。

4月から新入社員が入ってくる。


ここ数年の新人動向を踏まえて、今後必要になってくると思われる対応を考えてみたい。


まず感じるのは、新人獣医師の「こうなりたい」と思う成長イメージレベルの低下傾向である。


病院側としては、1人前(一人で診療、不妊手術程度、初期の緊急対応が可能なレベル)にしてあげようと思って教育を行うが、新人獣医師の成長イメージレベル以上を初めから期待してしまうと、イメージのズレによる齟齬が起きてしまう。


先輩が良かれと思って行っていることが、実は相手を追い詰めてしまっている、ということにもなり得るのである。こうなると、先輩・新人ともに不幸だし、病院全体にとっても疲弊感が漂ってくる。


もちろん相手のイメージレベルで留まらせることが良いわけではないが、どの新人も一律の成長イメージを持っているわけではないということを理解しておきたい。(もちろん初めからイメージレベルが高い新人もいる。)


また、新人自身も順調に成長しているタイミングと、伸び悩んでいるタイミングとでは、成長イメージの高低に大きな差が出てくる。


上手くいっている時は「もっとできるようになりたい!」と思うだろうし、自信を無くしている時は「ここまでで十分」と思うかもしれない。


そのため、新人教育を行う上では、その時々の新人の成長イメージと今の状態を把握しつつ、教育スケジュールの柔軟な変更を検討することが望ましいと考えている。


小さな成功体験を積み重ねさせれば、成長イメージは徐々に高くなっていくだろう。以前に比べると細やかなケアが必要になるが、その分ハマればより定着にも繋がりやすい。


4月からの新人教育を考えていただきたい。



2022年3月18日金曜日

ルールメイキング

北野です。

マネジメント課題の一つに権限移譲がある。


組織として自発的に動くことを求めるのであれば、何かある度にトップや管理職に確認・指示を求められる状況は好ましくない。


それらを実現するためには、役職などの役割を与えるだけでは不十分で判断基準ともいえるルールを設けておく必要がある。


例えば、患者対応でトラブルが発生した際に、何らかの金額値引きが必要になった際、リーダークラスであれば万円までの値引きはリーダー権限で判断してもよい、というようなものである。


役職という役割を与えてはいるものの、ルールが不十分であるために役職者が機能しないというケースが多い。そのため役職とルールはセットで設定することが望ましい。


また、ルールは組織状況により常に変化するものであるし、柔軟に変化させるべきものである。そのため全て決めきる必要はなく、必要に応じて設定していけばよい。


大きく構えずに小さく積み上げて対応していっていただきたい。

2022年3月11日金曜日

教育における落とし穴

北野です。

セミナーの中でもお伝えしているが、
教育の在り方を変えていく必要があると感じている。

教育には
・あり方教育
・やり方教育

の2種類があり、これを混同しないことが望ましい。

また、ここ数日多くの院長先生と議論しているのが、
スタッフ個々に「どうなりたいか?」というレベル感が異なっており、
教育におけるギャップが発生していることである。

教育に力を入れている・真面目な病院ほど、
ここに落とし穴があるように感じている。

多くの場合、教育する側(先輩など)は、
「こういう状態になって欲しい」と思って新人へ教育を行う。

「こういう状態になって欲しい」というイメージは、
「獣医師として1人前に」「看護師として一通りの業務ができるように」と
フワッとしていることが多い。

従来は、教育を受ける側が「こうなりたい」と思っているイメージと
教育する側が「こういう状態になって欲しい」と思うイメージが
比較的近い状態であったため、大きな問題なく教育が進んでいた。

しかし、
・動物病院で働く中での診療外業務の増加
・獣医療の広範囲化
・マルチタスク化の必要性
・先輩と新人との世代感覚のズレ
・採用の難易度向上
・学生数の減少

など様々な要因にて、
従来の教育が通用しなくなってきていると感じている。

特に獣医師などは、
新人本人が「このレベルまでできれば十分」
と思っているレベルが低下しているように感じる。

先輩が新人に対して、10を目指して教育するけれど、
新人は5の状態を達成すれば十分と考えて入れば、
この差5のギャップが生じて、教育におけるミスコミュニケーションが発生する。

この結果、「こんなつもりではなかった」と退職に繋がる可能性もあるだろう。

これらを防ぐためには、
相手のイメージレベルがどの程度にあるかの確認はもちろんだし、
教育においても相手のイメージと覚える項目の連動性を伝える必要もあるし、
採用時点から互いのイメージ把握に努めることも必要になるだろう。

採用市場が非常に激化している中で考えていきたいテーマである。

2022年3月4日金曜日

パーパスの作り方

北野です。

先日来開催しているセミナーは過去最高の参加者数となっている。


今回のセミナーテーマは絆パーパス経営というものであるが、早速会員様では自院のパーパス作りが始まっている。


パーパスに正解はなく、各病院ごとに独自性あるほうが良いと考えているが、いざ作るとなると手が止まる方も多いであろう。


パーパスは環境、社会、ステークホルダーに対して病院の存在意義を表したもので、それらの対象に向けて自院が何を提供するかを言葉にしていくプロセスとなる。


具体的な作成手順は数回分のコンサルティングに匹敵するので割愛するが、盛り込む要素の切り口としては、

・病院名(法人名)の由来

・獣医師になろうと思ったきっかけ

・開業しようと思ったきっかけ

・今の開業地域を選んだきっかけ

・病院設計時に気をつけたこと


などがある。


これらは、過去の院長の決断という原体験を基にしたアプローチである。パーパスは現在から未来に向けた視点・メッセージなので、過去・現在・未来と繋がっていることを考えると、過去を振り返ることは非常に有用となる。


さらに発展的な取組としては、院長の過去の原体験を基にしたストーリーを採用に活かすことも検討している。


価値観が同じ人の採用に繋がればよいと思う。


ぜひパーパス作りにチャレンジしてみていただきたい。