北野です。
最近読んだ記事の中に、
7割経済というものがあった。
飲食店など今まで1メートルの距離でビジネスを行っていたものが、ソーシャルディスタンス(1.5mの距離を取る)のために、前と同じやり方だとコロナ前の最大で7割の売上になってしまうというものである。
つまり売上をコロナ前と同等にするには、
・単価を1.5倍にする
・空間を1.5倍にする
・営業時間を1.5倍にする
・損益分岐点を7割に下げる
などが必要となる。
最も理想的なのが単価を上げることではあるが、価値訴求はなかなか難しい。
多くの飲食店が行っているテイクアウトは店内での感染対策とともに、空間の拡張でもあると言える。
さて、
動物病院ではソーシャルディスタンスにおいて、どういうことが考えられるだろうか。
動物病院においては、飲食店のような空間的なキャパシティだけでなく、獣医師の時間的なキャパシティの2つを考える必要がある。
空間的キャパシティは、感染対策の基本となる3密対策として重要となる。
外待合や車内待機が定着してきているが、真夏や真冬の対応をどうするかは近々の検討課題となるだろう。
待合室を拡張するか、予約制の導入などを行い空間的キャパシティを調整するなどが考えられる。ここは、飲食店などと異なり対応が柔軟にしやすい。
むしろ、このタイミングだからこそ考えていきたいのが、時間的キャパシティについてである。
時間的キャパシティには2つあって、
1)マクロ的な時間
2)ミクロ的な時間
となる。
マクロ的なキャパシティとは、法的な労働時間というようなルールによるもので、週40時間を前提とすると、診療時間の制限も出るし、スタッフ数の制限も出てきてしまう。
ミクロ的なキャパシティとは、労働における各フロー1つずつの所要時間など、細かなことの積み重ねとなる。
beforeコロナ期は働き方改革という旗印のもと、病院側の内的な動機のみで効率化を進めていた。そのため、診療時間短縮など飼い主様に負担をかける取組などには踏み切りにくかった。
この数か月で状況は変わり、withコロナ期は感染対策という新しい旗印のもと、飼い主様の理解も得やすくなってきている。
前は長く時間をかけて説明しているという1診察あたりの時間の長さが満足にもなっていたが、今はむしろ長いということは密のもとにもなり、敬遠されることもある。
つまり、この期間内に従来の懸念点であった時間的キャパシティを内的な部分と外的な部分で改善して圧縮することができれば、Afterコロナ期においては、圧縮分の余剰を持って活動することができる。
業務フロー見直しによる時間短縮はもちろんであるが、対応時間の短縮&アフターフォローによる時間短縮なども今は進めやすい。
ピンチはチャンスでもある。
この時期に変革できた病院こそ、次の時代での強さにもなると感じる。