2020年7月31日金曜日

信用経済

北野です。

新型コロナウイルスに関する影響において、今後、何を大切にしていくべきかという質問が多くなっている。

セミナーなどでもお伝えしているが、
今後重要なのは飼主様からの信用をどのように獲得するかだと考えている。
信用には、医療技術的な信用と、感染対策への信用の2つがある。

医療技術的な信用については、景気が悪くなると失敗したくないという意識が強くなり、
医療面において実績のある病院を探す傾向にある。この点においては医療技術の研鑽を行っていた病院はチャンスとなっている。

リーマンショック後には人医療においても同様の事象が起こっていた。眼科では白内障手術の年間執刀数が多いクリニックに集まっていたし、歯科では自比率が高いクリニックに集まっていた。

情報発信の工夫によりある程度はカバーできるが、実績は一朝一夕にはできないため、医療の本質的なものが求められる時代になっていく。

感染対策の信用については、どの程度の対策を病院で行っているのかを常時発信しておくことが重要であると感じる。ここ数日の感染拡大状況を見ていると、いつかは病院スタッフが感染する可能性もある。

そのため、感染すること自体は防ぎようがないと考えておくしかない。その前提で考えると、病院として対外的(対飼主様へ)と対内的(対従業員や対関連業者など)での対策について今一度見直し、その徹底と意識向上をするしかない。

万が一感染者が出てしまった際にも、対策の徹底度合いによって第3者的な印象は大きく変わってくる。「ここまでしていても出てしまったのなら仕方ないよね」とある程度思っていただけるような取り組みが重要である。

世の中の風潮が、感染した人への見方が季節性のインフルエンザのようになるまでは、魔女狩り的な風潮が続いていく。これは感染者が少ない地域であればあるほど強くなる。

新型コロナウイルスが経営に最も影響を及ぼすのは風評被害である。
だからこそ、気を緩めずに徹底をしていただきたい。

2020年7月24日金曜日

リマインドマーケティング


北野です。

先日、弊社のオープンカレッジにて人医療の経営コンサルティングを行っているクレドメディカルの志賀代表に講演をいただいた。

人医療はコロナウィルスの影響により春の時期は前年比売り上げ4060%減というところも多いとのことであった。

その中でどのように患者の来院を戻していくかと言う取り組みについて、ご講演をいただいた。

その中で印象的だったのがいかに患者さんに病院のことを思い出してもらうか、そのリマインドマーケティングと言う取り組みであった。

動物病院も同じであるが、行こうと思った時に、まず最初に自院が想起されるかどうか、これが非常に重要になる。

実際に弊社の会員様でも、診療自粛を決めた時に、LINE公式アカウントの登録推奨を飼い主にお願いし、一気に登録者数を増やしたところは、自粛明けの来院の戻りも早くなっている。

これらの会員様では自粛期間中も定期的にLINEでの情報発信を行っていただいていた。

情報発信にはプル型とプッシュ型があり、HPや看板などはプル型となる。一方でLINE公式アカウントやダイレクトメールなどはプッシュ型になるが、ダイレクトメールは高コストのため、頻繁には実施しにくい。

接する回数が多いほど好感を持ちやすいという、心理学のザイオンス効果があるが、こういった観点からも飼い主様と病院との接点をどう持つかは今後より重要になってくる。

現状は使えるツールがLINE公式アカウントの1点にほぼ絞られており、やることはシンプルである。

ぜひ、関係性作りのための取組に力を入れていただきたい。

2020年7月18日土曜日

ピンチはチャンス

北野です。

新型コロナウィルスの影響によって、先行きの不安を考える経営者は多い。

セミナーにご参加いただく一般の動物病院様からの経営相談においても先行きに対する不安が非常に強くなってきていることを感じる。

お話をしていると多くの病院様に共通しているのが、思考が停止しがちになっていると言うことである。

よくピンチはチャンスであると言う言葉もあるが、今回はまさにそのような状況であると考えている。

ピンチの時は先行き不安から実行よりも思考に意識が向きがちで、実行判断を行いにくく結局行動しないということが多くなる。

普段は決断が早い経営者でも躊躇することが多くなる。新しいチャレンジや新しい取り組みはストップしやすい。

もちろん費用対効果や投資対効果等を考えていく必要はあるが、停滞する時期にこそ先を見据えた新しいチャレンジを行っておかないと、状況が好転したタイミングの着手では、先行者メリットは享受しにくい。

オンライン診療などはこの典型で、周りの動向を見るとか、今はニーズが無いとか、第2波が来たらとか、の前にまずはシステムだけ整えて小さく実行しておくのが必要だと感じる。

オンライン診療に限らずではあるが、新しい取組は認知に時間がかかることもあり、外来が戻りつつある今だからこそ、既存飼い主に告知し、浸透を図っておけば需要が出てきた時には地域での先行者としてのブランディングも可能になる。

また、特に今は数年ぶりに子犬の売れ行きが好調であると言う業界にとっては明るい兆しもある。本来なら需要に合わせて広告宣伝も拡大すべきではあるが、コロナ不安により躊躇するところが多い。

今お勧めしているのは、費用対効果も見えやすいリスティング広告などのデジタルマーケティングである。

デジタルマーケティングは、手がかかる分だけ、表層のみの取組になったり、長期視点を持ちにくいものでもある。

弊社でもこのあたりは従来以上に力を入れており、今まで以上のサポートを行える体制を急いでいる。

会員様ではリスティング広告を月30,000円程度で運用することで新規の数を毎月10から20程度獲得できているところもある。

こういった事例を積み重ねていき、会員様にはご提供していきたい。

不安な状況ではあるが、ピンチはチャンスでもある。行動こそがチャンスをもたらすと考え、まずは小さく行動を始めていただきたい。

2020年7月12日日曜日

Googleが定める新たな指標

北野です。

Googleが検索結果の順位を決める指標に新たな指標を追加した。
これらは、「コアウェブバイタル」と呼ばれ、「LCP」「FID」「CLS」という3つの指標が設定されている。

これらは、検索ユーザーの検索体験をより向上させるために必要であるとされている。
非常に細かい数値なので、詳細は避けるが、簡単に、ざっくりと言うとこれらの指標はサイトが早く正しく表示されるか?ということになる。

LCP(Largest Contentful Paint)
⇒「最大コンテンツの描画」の意味。ページ表示速度に関する指標。

FID(First Input Delay)
⇒「初回入力遅延」の意味。反応速度に関する指標。

CLS(Cumulative Layout Shift)
⇒「累積レイアウト変更」の意味。レイアウトの安定性に関する指標。

これらは、
・Search Console
・PageSpeed Insights
などのサイトで計測することができる。

従来からお伝えしている要因などと合わせて、新たな指標にも対応していく必要がある。
まずは、自院の状況を確認していみていただきたい。

2020年7月3日金曜日

共感のための物語化

北野です。

東京都では新規の新型コロナ感染者数が100名を再度超えた。
政府も緊急事態宣言の再発令の可能性について触れるなど、
また先行きが怪しくなっている。

動物病院業界は現状では影響は軽微となっているが、
来院需要のピークである春の予防シーズンであったことは
考慮しておく必要がある。

通常、夏以降は外来が年間でも減少する時期にもなるため、
先手を打った対策が必要となる。

今後のビジネスモデルとしては、
これまでにもお伝えしているように、

・年間を通じた3密対策
・損益分岐点を下げる経営
7割経済に対応する運営
・情報発信は広告から広報へ

などを考える必要がある。

今回は新たにマーケティング面での話をお伝えしたい。



春の自粛期間以降で、
仔犬の新患が増えたという会員様が多数いる。

ペットショップからは犬が消え、
仕入れ価格も高騰しているという話も出てきている。

既に飼っている方が2頭目3頭目ということもあるが、
初めて飼い始めるという方も多いという。
年齢層としては30代・40代も増えている。

今までは50代・60代が来院のメインボリュームであったのが、
少しづつ変化してきている。

それに伴い、
情報発信はWEBによるものが中心になってくる。

ショップで仔犬を購入する家庭は、
まずは併設の病院でワクチンや不妊手術など
初期段階を受診することが多い。

当然ショップ側も併設病院への通院を勧める。
お得なクーポン販売などを行うことも多い。

新たな需要を取り込むためには、
この流れの中に割って入る必要がある。

「地域名+動物病院」で検索すると、
多くの動物病院が表示される。

まずは、その1ページ目に入るための
SEO対策が必要ではあるが、
比較検討される中で、自院を選択してもらうことが必要となる。

今まで動物を飼ったことが無い飼主様は
全ての情報が初見であり、
動物病院選択の経験値がない。

そのため、各病院のHPを皮革検討しながら見るが、
多くの場合は選択の決め手がない。

この決め手は、
・即時性 → 予約などで明日行けるなど
・信頼性 → 病院規模が大きい、スタッフが多いなど
・利便性 → 自宅から近いなど

などで補完することができるが、
表層的なものでしかない。

表層的な部分での来院は長くは続かないが、
本質的な部分での来院は長く続くようになる。


この本質的な部分というのは、
既に病院として持っているもの、

・院長の開業の想い
・獣医師を志したきっかけ
・病院としての進むべき姿 

などを表現していくことで、
「この病院いいよね」と思ってもらう、
共感してもらうということである。


この共感を産むための1つの手法は
病院の想いを物語化すること。

それは人くさいものであるかもしれないし、
お世辞にも格好良いものではないかもしれない。

でも、そこには生の手触り感があり、
多くのリアリティが詰まっている。

同じ仕事でも、同じ医療機器を使っていても、
同じエリアで開設していても、
全てに想いや考えがあるはずである。

共感は感情なので、理屈や論理ではない。
なので言葉で説明することが難しい。
なぜ?と聞かれても上手く答えられないものでもある。
だからこその物語化が重要である。

世の中の多くの情報が、
キレイに見せるための広告的なもので溢れている。

そういった中だからこそ、
手触り感のある物語は共感を呼ぶことになる。


そして共感は常に本質的なものであり続けるため、
様々な事象が発生した時にも効力を発揮し続ける。

先行きが不確定な時期だからこそ、
共感してもらう方法を考えていただきたい。