2021年2月26日金曜日

目線の向く先

 北野です。

コロナによる自粛が1年になり、セミナーに行けない、旅行に行けない、飲みに行けないなど、前向きになりにくい状態が続いている。


また、売上は好調である場合も多く、色々な院長から次の目標をどうするか?についてのご相談をよくお受けするようになってきた。


目標については大きく3つある。

1つ目は顧客についての取組として、売上拡大、広告宣伝、料金体系変更、新サービスの開発などである。


2つ目は体制整備についての取組として、オンライン診療の導入、業務のシステム化、マニュアル作りなどである。


3つ目は組織や内部体制についての取組として、採用、人事評価制度、社内コミュニケーション強化などである。


1つ目から3つ目になるにつれ、内向きの取組となっていく。


組織には常に目標が必要であり、目標が内向きになるにつれ、停滞感や人間関係の課題が目につくようになります。そして、ネガティブな循環が産まれるようになってしまう。


原則として、顧客獲得という売上作りのために、体制整備があり、組織作りが必要になる。

ビジネスにおいては、顧客獲得が目的で体制整備や組織作りは手段でしかない。動物病院はボランティア団体やNPO団体ではない。


手段が目的に変わることで、本来出てこない課題が出てきてしまう。むしろ、表面化させてしまう危険性もある。


コロナという不安感により、投資に二の足を踏む方も多く、外に目が向きにくい状態でもある。だからこそ、意識的に目線を外に持っていく必要がある。


内向きの課題は取組みやすいが結果は見えにくい。外向きの課題は取組みにくいが結果は見えやすい。


ワクチン接種スケジュールも発表され、夜明けが少しずつ見えてきた。今は夜明け前の転換点であると感じている。


世の中の多くが止まりがちだからこそ、今は動く時期である。ぜひ目線の向く先を外(顧客獲得)へ向けていただきたい。

2021年2月19日金曜日

面接時に見ておくポイント

北野です。

応募者の面接を行う際に、何を聞けばよいか?についてご相談をよくお受けする。


まず、最初に面接では聞いてはいけないことがあることを認識しておく必要がある。職業安定法では、就職差別に繋がる質問(出生地・家族・宗教など下記URL参照)はNGとされている。


【参考】厚生労働省 公正な採用選考の基本

https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm


この点に注意した上で下記3点をチェックされるとよいと考えている。


(1)素直さはあるか?

動物病院はチームで行う仕事である。チームワークを発揮するには、周囲に馴染む素直さが重要。質問に素直に答えられるか、実習中のアドバイスを素直に聞けているかを見ておくとよいであろう。


(2)何を大事にしているか?

せっかく働くのであれば同じ価値観ならとても素晴らしいことである。応募者の価値観を見るためにも、「実習中に見た先輩の行動で、良いなと思ったことはありますか?」と質問してみるとよい。そこでの回答が賛同できるものであれば◎、ズレていれば合わない相手の可能性がある。


(3)自院のことをどれだけ調べているか?

応募者の就職意欲の高低もしっかりと見ておきたい。「入社したい」というのは本音なのか、口だけなのか。そんな時は「当院のHPを見て良いと思ったところはどこですか?」と質問してみるとようであろう。入社意欲が高ければきっとHPはある程度読み込んでいるはず。答えられない、ズレている場合は残念ながら入社意欲が低い可能性が高い。


当然、面接の場だけで相手を100%判断することは難しい。さらに1日程度の期間で採用可否を決めないといけない場合も多い。そういう際には、複数の応募者を比較検討出来る指標があると判断もしやすくなっている。


自院に合った方法を見つけていただきたい。


2021年2月13日土曜日

今後の採用についての考察

 北野です。

全国各地で採用活動を行っているが、例年よりも苦戦している病院が多い。

新型コロナ渦にもあるため例年との比較はできないが、今後の取組を考える上で考察を行いたい。


新卒採用は例年よりも苦戦した感はあるが、応募があるところには応募もある。獣医学生1人あたりの実習数の減少によっての応募者数減である可能性が最も高いといえそうである。実際に、昨年はGWから夏休みに予定していた実習が軒並み延期となり、そのまま中止となったケースも非常に多かった。首都圏以外の大学の多くが、他府県への移動自粛を求めたり、移動後戻ってきてからの一定期間の自主隔離を求めたことも大きく影響しているといえる。


今年に入ってからも一部の大学では同様の措置を取っているところもあり、実習の早期化や延期の影響も出始めている。


こういったことから、新卒においても人材紹介への登録がさらに増加することも予想される。現地への実習がかなわないことも多く、自分の足で見比べるということが難しい状態でもある。こう考えると、希望を伝えればエージェントが希望に近い病院を代わりに探してくれるサービスは現実的に最も有益なサービスとなりえる。一方で人材紹介経由の採用は採用病院側に手数料が発生することから、二の足を踏む学生が多いことも予想される。


このあたりは採用病院側が手数料をどうとらえるかによって変わってくるが、今後新卒採用における人材紹介会社利用は増加傾向になってくると考えられる。


利用しない方が病院・学生双方にとって有益な場合もある。そのため、病院サイドとしては、新卒採用においては、より自院情報の拡大発信と遠隔コミュニケーション、緩やかな繋がりの保持というあたりが重点的な取り組みになると考えている。



中途採用においては、例年よりも動きが沈静化している印象を受けている。最も中途市場で動きやすい年代である20代、30代の状況について見てみると、農水省の平成30年の調査資料では、20代では男性49%女性51%、30代で男性55%女性45%とほぼ男女比が同等になっている。獣医師の男女比は全体で男性68%女性32%となっていることを考慮すると、女性比率が非常に高いのが特徴である。また、30代が最も小動物臨床に関わる人数が多い。


ちなみに、小動物臨床に従事する獣医師総数は平成28年15,330人、平成30年15,774人と微増している点を見ると、小動物臨床に携わる人数が減少しているわけではないことがわかる。


これらを簡単にまとめてみると、

・獣医師総数は微増傾向

・獣医師数が最も多い年代は30代

・中途採用の主となる20代・30代では女性比率が約50%程度となっている


という傾向が分かる。

では、中途採用のメインボリュームとなる20代・30代の内訳を見てみると、


20代男性 14.6%

20代女性 15.0%

30代男性 38.4%

30代女性 32.0%

となっている。


厚生労働省の調査によると、平均初婚年齢は夫 31.1 歳、妻 29.4 歳、第1子出生時の母の平均年齢が30.7歳となっており、中途採用市場の約1/3を占める30代女性は結婚・出産等の大きなライフイベントを迎える者が多い世代であるともいえる。


中途採用での転職意向の低下や中途採用市場の縮小の一員はこういった点にあるとも考えられる。また、感覚的には20代の男女ともに一旦臨床に入ったものの、就職後数年で他職種に転職する傾向が多くなっているとも感じる。


このようにみてみると、今後ますます中途採用市場は縮小する可能性も高く、新卒採用に力を入れるという攻めの側面と、既存スタッフの定着及び職場復帰のしやすい環境整備がますます重要になると考えられる。


これらはあくまでも統計数字からの推測と現場感による考察になるため、実際と乖離している部分もあるかもしれない。それでも、ここ数年の採用難を考慮すると採用一辺倒の方針のみに頼ることは危うく、新しい体制作りが急務であると考えている。


2021年2月5日金曜日

診療を永続するために

 北野です。


現在、ご縁があり、ある電力会社と動物病院向けのサービスの打合せを重ねている。


昨春の緊急事態宣言時の休業要請に当てはまらなかったところからも、動物病院はエッセンシャルワークという側面がより強くなった。


様々な要因によって診療が止まることを避けるために、しっかりと準備を進めておきたい。


大きくは災害対策と経営基盤強化となる。


一昨年の大阪を中心とした台風により、広範囲の長時間にわたる停電があった。いつか起こると言われる南海トラフ地震のようなものにも備えておく必要もある。


医療において重要なインフラとなるのが電力である。台風による停電で診療が止まり、入院動物管理に苦労したという声も多い。


先見と資本のある場合には自家発電設備を導入しているところもあるが、導入維持コストは悩みの種にもなる。


現在、話を進めているのが、電気自動車や蓄電池を利用した災害対策である。これは、自家発電設備などのように、日常使用しないものではなく、社用車としての日常使用も可能でもあるし、経費化も行いやすい。


国の脱炭素方針もあり、今後様々な導入サポートも見込まれるため、より導入のハードルが低くなるであろう。


また、日常使用している電力についても、電力自由化によってコスト削減を行うこともできるようになるであろうし、環境に配慮したエネルギーの導入なども病院ブランディングになっていくと思われる。こういった経営基盤強化も重要な要素になるであろう。 


サスティナコンサルティングの社名は、サスティナブルという持続可能性から由来している。


今後も持続可能性を持ち永続できる病院作りのサポートを行っていきたい。