2020年8月28日金曜日

人が成長するタイミングとは?

 北野です。


会員様でスタッフさんの半期評価を行っている。面談も兼ねており、ヒアリングシートを用意することも多い。


事前に配布、記載してもらい面談時に使用するシートである。質問項目でお勧めしているのが、「病院や院長からどういう役割を期待されていると考えていますか?」というものである。


これは、病院・院長側の期待値と、スタッフ自身が考えている自分の存在や立ち位置に、どの程度のズレが生じているかを知るための項目である。


人が成長するタイミングは色々とあるが、

1)組織の中での自分という認識になる

2)求められている役割について考える

3)求められている役割を知る

4)求められている役割へ努力する


というように、個人という視点から、組織の中の自分というように客観的な視点に変化する。そして組織から求められる役割を担う努力をするという流れである。


頑張っているがなかなか成長しないスタッフというのは、求められている役割とは異なる役割への努力をしていることが多い。


若手に求める役割、中堅に求める役割、幹部に求める役割、これらは全て異なるし、能力を遙かに飛び越えた役割を担おうとしても無理がある。


よく人が育たないという相談をお受けするが、そもそもそのスタッフに何を期待するか自体が病院側で明確になっていないことも多い。


スタッフ自身に自分で考えろというのはかなりの無理難題である。トップを含めた上司の役割というのは、その役割を設定し、上記のプロセスを本人が腹落ちして気付くように仕向けていくことである。


人を変えることはできないが、変わるきっかけを作ることはできる。その良いきっかけとなるのが、評価などの面談である。


強い組織作りのために是非取り組んでいただきたい。

2020年8月21日金曜日

効率がよいものは何か?取捨選択の時代へ

北野です。


経営相談をお受けすることが増えている。
ここ最近の内容で最も多いのが、今後の方針である。


経営の原則は「効率がよいもの(ついているもの)に経営資源を集中させる」ということである。

弊社のクライアント様では、売上は過去最高売上を継続しているにも関わらず、
様々な分析の結果から、そのクライアント様が行っている
サービス・分院などを廃止・閉店する決定を行ったところもある。


なぜ今かというと、好調な状況だからこそ決定がしやすいからである。
もし、何らかの社会環境によって業績が低下してきたときには、
撤退という選択を行うことは難しくなる。

好調だからこそ、効率がよいものにより集中するための方針をとった。

このように、先行きが不安な中では、
・何を始めるか
・何をやめるか
・何をしこむか

これら取捨選択を真剣に考える必要がある。


現状の動物病院業界への影響は軽微であるが、
先日の犬への感染が報道されたように、
いつどう状況が変わるか分からない。

常にモニタリングしておくべきなのは「大衆心理」となる。
大衆心理は地域によって大きく異なる。


東京では連日数百人程度の新規感染者数の発表があり、
近隣に陽性者が出てもそう驚くことはない時期になっていると感じる。

一方で地方部になると、先日の青森へ帰省した方の自宅に張り紙がされたように、
非常に敏感な時期となっている。


それらを考慮しつつ、病院の持つ経営資源をどこにどう割り振るかを考えておく。
今まで続けていたものをどう残すか、どう無くすか、どう効率よくするか。


取捨選択によって、より強い経営体を目指していただきたい。

    

2020年8月14日金曜日

オンラインと期待値把握

北野です。


動物病院でもオンライン診療の検討を始めるところが増えている。


動物病院におけるオンライン診療は、診療対象となる動物自体が症状などを直接話せないため、人医療のとは勝手が異なる。


そのため、動物病院におけるオンライン診療については弊社も知見を重ねて色々とご提供していきたい。


今回はオンラインで行うサービスにおいての期待値把握について考えたい。


先日、LINEヘルスケア社が行っているLINE健康相談が炎上するということがあった。


これはLINEのビデオ通話機能を用いて、患者が医師に直接相談をできるというサービスなのだが、担当した医師が患者に暴言を吐いたとのことである。


それがTwitterにアップされ拡散され炎上騒ぎになった。


暴言内容はさておき、今回のトラブルに至った問題点を私見をもとにまとめると、


1)利用者側の利用目的

2)サービス提供側の提供内容

3)担当医師のコミュニケーションスキル


になると考える。


そもそもLINE健康相談とは、診察診断を目的としているのではなく、あくまでも悩みに答える健康相談となる。


しかし、利用者側が読む規約などは分かりづらいなどの問題はあったようである。


つまり、サービス提供側はヘルスケア領域でのサービス提供としているのが、利用者側はメディカル領域でのサービス提供と受け取っていたことで、相互に齟齬をきたしていたと考えられる。


また、オンラインという顔は見えるが対面コミュニケーションではない中では、相手の表情などの少ない情報からから様々な判断をする必要が出てくるため、高いコミュニケーションスキルが求められるのは必然だろう。


今回の事例を材料とするならば、

1)提供サービス内容の明確化

2)対応時のコミュニケーション不足解消


が必要となると考える。


つまり、オンラインで行う内容の範囲はどこまでなのか、どこまではできて、どこからはできないのかを予め明確にしておく。


さらに、対応するスタッフのスキルを向上させるか、そもそもオンラインで受ける相手を信頼関係がもともとできている相手に絞るかなどが必要になると考える。


コロナの影響によってありとあらゆるものがオンライン化されていっている。上手に運用できれば発展となるが、期待外れに終われば衰退となる。


今回のような先行事例をもとにしっかりと足元を固めていただきたい。

2020年8月7日金曜日

秋以降を見据えて

北野です。

全国的に感染者数が増加しつつあり、
今まで少なかった地方部にも広がりつつある。

ここ最近の傾向を見ていると、
感染すること自体が珍しくない時期にも入りつつある。

新型コロナの健康上の危険性について、
個人的な考え方はあるが、専門ではないのでここでは差し控えたい。

何度もお伝えしているが、今の段階での新型コロナの経営上の危険性は、
風評被害につきる。この風評被害を最小限に留めるには信用経営が重要になる。


他業種での感染状況などを見てみると、
スターバックスにしても、マクドナルドにしても、
各店舗での感染者は出ているが、
休業して一定期間後の客足は戻っているように見受けられる。


これは、「スタバなら、マクドナルドなら大丈夫だろう。しっかり対策してるだろう」みたいな元からの信用があるからだと考える。

今、動物病院業界はコロナ禍ではあるものの、
仔犬の増加に伴う新患数増加などの好材料もあり、
むしろ過去最高益を更新しているところも多い。

このような状況下においては、健全な中での積極投資が正解なのだが、
忘れてはいけないのは信用経営を並行して行わないと、
リスクも大きくなるということ。


よく、リスティング広告の投下やウェブサイトの改善などの
マーケティング手法のみの強化を訴える代理店など多いが、
中長期にわたって発展する病院を目指すのであれば非常に危険であると感じる。


今は単に情報発信を強化すればという時代ではなく、
将来起こりうるリスクを想定しつつ、
内部の取組を行いながら情報発信を強化するのが正しい。
短期的なことだけを考える目先の経営を行うのであれば
情報発信だけでもよいかもしれない。


ただし、この先5年10年それ以上を考えるのであれば、
想像力を働かせ、様々な情報を収集し、
あらゆる想定に基づいた対策を検討して、
今を取り組むということが今まで以上に必要になっている。


弊社の会員様でも、4月くらいの早い段階から、
オンライン診療・自動会計などの非対面方法の導入準備、
予約制度などの3密回避の導入、スタッフの健康管理のモニタリング、
感染対策の小まめな情報発信など、
飼い主様が行くにあたって信用たり得る対策に取り組んでいただいている。


そして、さらに今からできることを未来に向けて着々と行っていただいている。

秋以降はさらに状況は大きく変化すると考えている。
春の時期はもともと予防シーズンということと感染拡大初期ということで、
世の中的に状況がつかめていない時期でもあった。

そのため、診療制限を行う程度で乗り切った病院も
元々の需要が少ない秋以降は影響が出る可能性も高い。


永続するためにも攻守のバランスをしっかりと考えていただきたい。