2022年11月25日金曜日

価値/価格

北野です。

10月の消費者物価上昇率が3.6%408カ月ぶりの伸びとなるなど、各所で値上げが続いている。


会員様の現場感においては、まだ物価高による影響はさほど見られないが、飼い主様の価格に対する見方はシビアになっていくだろう。


「納得感(満足度)=価値/価格」

という公式がある。


価値>価格なら納得して支払うが、価値<価格なら支払いへの金銭的負担感が高くなる。


そもそも獣医療の場合は必要性・緊急性が高いものであり、金銭的負担感が高くとも支払われることが多い。この点は嗜好品などとは異なっている。


しかし、納得感なくしては継続は難しく、インフォームドコンセント含めた価値創出を意識していただきたい。


価値創出には様々な方法がある。ある会員様ではペットホテルが高いと飼い主様から指摘されたという。


ウチはこんなことをやってるんです、だからこの値段なんです、と細かく説明したところ、「それ、もっと他の飼い主さんにも伝えたほうがいいですよ。もったいない。」と逆に応援してくれたという。


この会員様では、ペットホテルの部屋空間作りから、フードをあげる際の食器のセレクトまで、11頭に合わせたカスタマイズサービスを提供されていた。


でも、飼い主様は預けている間のサービスなので、全く知らなかったというわけである。


このように、動物病院において実施しているサービスの多くは、院長先生方が思っている半分も飼い主様に、その価値が知られていない。


上記の会員様では、以降ペットホテルの案内には預かり中のサービスをフローや写真などを使用してビジュアルで分かりやすく伝えるように変更した。


飼い主様によっては、ここまでやってくれるなら、この値段でも安いと思う方も出てくる。


サービスの価値を伝えるには、

・飼い主様に見えていない部分を見せる

・飼い主様に院内サービスを体験してもらう

・飼い主様に楽しんでもらう


などの視点で考えていただくとよいだろう。

医療サービスからケアサービスまで、院内でやっているもの全てに適応できる。


ぜひ、楽しみながら価値創出に取り組んでいただきたい。

2022年11月21日月曜日

キャンペーンの効果を高めるために

北野です。

健康診断以外にもデンタルやスキンケア、

フードキャンペーンなど、

動物病院では様々なキャンペーンを実施する。


そういったキャンペーンをする際には、

何をどのように勧めるか、

を考えていく必要がある。


通常キャンペーンは、

単品として比較的高額な1つのメニューを

割引などをするタイプか、


低価格メニューをフックとして、

関連する本メニューを後から推奨するタイプ、

などバリエーションがある。


件数獲得を目指したい場合や、

いますぐの必要性を感じにくいメニューを

推奨する場合には、

後者を選択していくことになる。


低価格メニューをフロントエンド、

本メニューをバックエンド、

と呼ぶことが多い。


フロントエンドのみしか準備しておらず、

バックエンドが無いことも多い。

キャンペーンの目的を売上増にもとめるなら、

フロントエンドとバックエンドの設計が

欠かせない。


また、飼い主と病院とで、

どの接点でどの媒体でどの情報を出すか、

それらもしっかりと検討しておくことで、

より訴求力の高いものになっていく。


商品設計と情報発信設計の2つを

的確に組み合わせることで、

飛躍的に効果が高まっていく。


キャンペーンを考える際に、

改めて設計を考えていただきたい。

2022年11月10日木曜日

手段と目的

北野です。

前回のブログでもお伝えしたように、
企画などを実行する場合は、
スピードを上げることが重要になってきている。

時間をかけて、100%に近い完成度に仕上げて実行するよりも、
40%程度の状態でも早く実行することが求められる。

動物病院業界においては、
この考え方に難色を示す方が多い。

それもそのはず、診療自体に間違いが許されないため、
病院で行う企画についても同様の感覚を持つ方が多い。
そのため、スピードよりも質を重視することになる。

ただし、ここで考えていただきたいことがある。
それは、その企画は何を目的として行うかということ。

病院で行う企画などは何らかの目的のために行っている。
企画は、あくまでも目的を達成するための手段である。

目的を達成するためには正しい手段を選ぶ必要があるが、
不確実な時代には、正解が過去の成功体験上にはないことも多い。

そのため、時間をかけて準備した企画が不発に終われば、
取り戻すためにはより大きな成果が必要となる。

その点、小さく早く実行すれば、
途中での方向修正や、違う企画の実行など、
リカバリーが効きやすく、より成功確率が高まることになる。

ぜひ、手段と目的を分けることを意識していただきたい。

2022年11月4日金曜日

速度を上げる

北野です。

新人に仕事のやり方を話すことがよくある。


自身の新人時代を振り返っても、

・考えすぎて手が動かない新人

・とりあえず手を動かす新人

など、タイプが分かれてくる。


成長が遅い新人の特徴は、常に質に重きを置くことにある。


新人はどこまでいっても新人なので、出せる質のレベルには限りがある。これは経験と時間で埋めるしかない。


むしろ、新人の強みは思い切りであったり、失敗が許される立場なので、スピードを最優先にすることが必要である。


早く出てくればその分、上が確認して正しく軌道修正できるし、手戻りも大きく減る。まずはスピード、次に量、最後に質という順を意識させたい。


また、この優先順位は、不況期における経営戦略に通じてくる。発展のためには新たな取組が必要だが、大きな投資は難しい。


また、新しい取組は成功するか不確定なので、一定の質のものを複数実施することが望ましい。さらに、些細なことでもよいので、実行後に組織内にやって良かったというポジティブな雰囲気をもたらしたい。


こういった観点から見ると、リスクヘッジのためにも、1つの取組に時間をかけて質を高めるよりも、スピード感をもってある程度のレベルの取組を複数実行できるようにしたい。


来年に向けて新しい取組の準備はできているだろうか。まだなら、まずは小さく始めることを意識していただきたい。