2020年7月3日金曜日

共感のための物語化

北野です。

東京都では新規の新型コロナ感染者数が100名を再度超えた。
政府も緊急事態宣言の再発令の可能性について触れるなど、
また先行きが怪しくなっている。

動物病院業界は現状では影響は軽微となっているが、
来院需要のピークである春の予防シーズンであったことは
考慮しておく必要がある。

通常、夏以降は外来が年間でも減少する時期にもなるため、
先手を打った対策が必要となる。

今後のビジネスモデルとしては、
これまでにもお伝えしているように、

・年間を通じた3密対策
・損益分岐点を下げる経営
7割経済に対応する運営
・情報発信は広告から広報へ

などを考える必要がある。

今回は新たにマーケティング面での話をお伝えしたい。



春の自粛期間以降で、
仔犬の新患が増えたという会員様が多数いる。

ペットショップからは犬が消え、
仕入れ価格も高騰しているという話も出てきている。

既に飼っている方が2頭目3頭目ということもあるが、
初めて飼い始めるという方も多いという。
年齢層としては30代・40代も増えている。

今までは50代・60代が来院のメインボリュームであったのが、
少しづつ変化してきている。

それに伴い、
情報発信はWEBによるものが中心になってくる。

ショップで仔犬を購入する家庭は、
まずは併設の病院でワクチンや不妊手術など
初期段階を受診することが多い。

当然ショップ側も併設病院への通院を勧める。
お得なクーポン販売などを行うことも多い。

新たな需要を取り込むためには、
この流れの中に割って入る必要がある。

「地域名+動物病院」で検索すると、
多くの動物病院が表示される。

まずは、その1ページ目に入るための
SEO対策が必要ではあるが、
比較検討される中で、自院を選択してもらうことが必要となる。

今まで動物を飼ったことが無い飼主様は
全ての情報が初見であり、
動物病院選択の経験値がない。

そのため、各病院のHPを皮革検討しながら見るが、
多くの場合は選択の決め手がない。

この決め手は、
・即時性 → 予約などで明日行けるなど
・信頼性 → 病院規模が大きい、スタッフが多いなど
・利便性 → 自宅から近いなど

などで補完することができるが、
表層的なものでしかない。

表層的な部分での来院は長くは続かないが、
本質的な部分での来院は長く続くようになる。


この本質的な部分というのは、
既に病院として持っているもの、

・院長の開業の想い
・獣医師を志したきっかけ
・病院としての進むべき姿 

などを表現していくことで、
「この病院いいよね」と思ってもらう、
共感してもらうということである。


この共感を産むための1つの手法は
病院の想いを物語化すること。

それは人くさいものであるかもしれないし、
お世辞にも格好良いものではないかもしれない。

でも、そこには生の手触り感があり、
多くのリアリティが詰まっている。

同じ仕事でも、同じ医療機器を使っていても、
同じエリアで開設していても、
全てに想いや考えがあるはずである。

共感は感情なので、理屈や論理ではない。
なので言葉で説明することが難しい。
なぜ?と聞かれても上手く答えられないものでもある。
だからこその物語化が重要である。

世の中の多くの情報が、
キレイに見せるための広告的なもので溢れている。

そういった中だからこそ、
手触り感のある物語は共感を呼ぶことになる。


そして共感は常に本質的なものであり続けるため、
様々な事象が発生した時にも効力を発揮し続ける。

先行きが不確定な時期だからこそ、
共感してもらう方法を考えていただきたい。