2021年1月8日金曜日

緊急事態宣言下において再確認したい6つのこと

 北野です。

1/7に関東一都三県で緊急事態宣言が発令された。大阪・兵庫・愛知なども国へ発令要請を行うとされている。

昨年春の要請内容よりも限定的で、大きな混乱は起こっていない。感染抑制への効果はさておき、消費マインドや行動感覚にはこれからジワジワと影響が出てくると思われる。

動物病院業界は、昨年春の発令時も営業自粛対象には入らず、生活に必要な業種として扱われている。そのため、飼い主様の動物病院への受診行動は大きくは変わらないと考えられるが、動物病院業界にとって春の予防シーズンに向けて、これから数ヶ月に渡っては非常に重要な時期となる。


今は、自院が安心して通院できる場所であることを伝える時期であると考えている。この時期に院内から感染者を出してしまうと、春先の繁忙期に影響を及ぼしかねない。

万が一出てしまった場合には適切な情報公開により、信頼獲得に向けた取組を行うことでリカバリーはできるが、感染者が出ないことに越したことはない。


この難しい局面を乗り切っていただくために下記6つの項目をまとめさせていただいた。
当たり前のこと・既出のことも多いが、再確認材料の1つとして活用していただきたい。


(1)感染対策の当たり前基準を上げる

マスク、手指消毒、定期換気、対面時のアクリル板設置などは、あらゆる業界で当たり前の感染対策となっている。

動物病院という特性上、飼い主様の「当たり前」の期待値基準は他の業種よりも高くなっている。少しやり過ぎかなと思われるくらいの感染対策を行っておきたい。


(2)Re:スタッフの意識向上

現在の感染者の多くは30代以下の若者となっている。これは動物病院にとって従業員の主要層となる。時間の経過とともに、個々の意識レベルは低下しがちになる。

実際に現場感としてもスタッフの意識低下を感じる。トップである院長はもちろんであるが、出勤時の健康確認、体調不良時の出勤停止、昼食時のソーシャルディスタンス確保、プライベートでの責任ある行動のお願いなど、できる限りのスタッフの意識向上を改めて行っておきたい。


(3)早い時間帯での来院促進

緊急事態宣言時が発令されているエリアでは、20時以降の不要不急の外出自粛が求められている。動物病院への通院自体が不要不急の外出ということではないが、診療時間が20時までなどの場合は最も混み合う時間帯にもなりやすい。

また、気温的にも寒い時間帯でもあり、外で待つことも難しく待合室が密な状態にもなりやすい。春の予防シーズンの混雑解消も見据えると今から早い時間帯での来院促進を行っておきたい。


(4)1診察時間の短縮化

現在、濃厚接触の定義は、「必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった場合」となっている。

マスクなどの感染予防策は病院側・飼主様側ともに行っているとして、対面診察を行う以上は距離を取ることは難しいことが多い。そのため、対面する時間を極力15分以内に収めることも検討すべきである。

感染予防策としてなど病院方針を打ち出すこともよいだろう。緊急事態宣言という非常時だからこそ、飼主様の理解も得やすくなっている。これが常態化していけば、診察効率も高まり、生産性向上にも寄与する。この点にチャレンジしていただきたい。


(5)オンライン整備

いったん下火になっているオンライン診療についても、春を迎える前に整備しておきたい。人医療のような遠距離でのオンライン診療というより、診察室と院内の別の場所、院内と駐車場車内など、そもそも対面せずに説明を行える体制を準備しておく。

病院と飼主様自宅を繋ぐオンライン診療は、春の緊急事態宣言時でさえも、ほとんどニーズが無かった。今後の感染拡大によってニーズ変化も出てくることも考えられるし、飼主様側への配慮を表すこともできる。

予約制を導入している場合には、オンライン問診にもチャレンジしていただきたい。飼主様が予約後来院前に予め問診内容を登録してくれることにより、来院受付時の接触時間を削減することもできるし、予め診察準備も行えるため診療効率も高めることもできる。

なお、これらオンライン化の取組は、全てを最初から完璧にしようとは思わないことも必要である。病院側も飼主様側も初めてのことであるので、様々な想定外が出てくる。

今はそれらを1つ1つ地道に取り除き定着させるタイミングである。焦らず慌てずに取り組んでいただきたい。


(6)心のソーシャルディスタンス対策

感染対策としてソーシャルディスタンスやマスク着用などが日常化している。物理的な距離も取るし、マスク着用により表情が見えないなど、皆が孤独感を感じやすく、不安な状態を過ごしている。

報道では連日暗い話題ばかりであるし、会話のテーマがコロナの話ばかりにもなりがちであり、気持ち自体も暗く落ち込みやすい。冬場で日照時間が短いこともメンタル低下に関係しているとも言われている。

こういった中では、基本的な挨拶、何気ない無駄話など、ポジティブな空気感を意識的に作りだす働きかけを行う必要がある。

それ以外にも、笑うことで免疫力が上がるとも言われていることから、会員様の中には年末のMー1の録画を休憩時間に皆で見ているという病院もあるし、病院で買ったゲーム機で皆で対戦して遊んでいるという病院もある。(ソーシャルディスタンスとマスク着用など感染対策をしっかりと行った上で)

こういった病院では一体感も強くなりポジティブな空気も出ているという。物理的な距離を取る必要があるからこそ、心の距離感を大事にしていただきたい。