2021年7月16日金曜日

動物病院におけるリスク管理

 北野です。

新型コロナウイルスの猛威により、
リスク管理の重要性に改めて気付く方が多い。

そのような背景で、
第77回SNC経営セミナーとして、
「もしも・・・」に備えるリスク管理セミナーを
急遽開催することにした。

今回は特別ゲストとして、社会的インフラに欠かせない
電力供給面からのリスク管理として、
関西電力の方にご講演もいただいている。

動物病院において特に参考となるような、
人の医療機関での取組をご紹介いただいている。

会員の方はぜひご覧いただきたい。


そんなセミナーから、
動物病院におけるリスク管理のポイントをご紹介したい。

ポイントとしては大きく5つあり、

① 事前シミュレーション
② 指針の作成
③ 指示系統
④ 内部での情報共有・蓄積
⑤ 外部への情報公開 

これらを予め定めておくことが必要となる。

① 事前シミュレーション

「もしも自分の身近で起こったら・・・」
そんなことを想定してあらゆるイメージをシミュレーションしておく。

多くのリスクは既にだれかがどこかで経験しているものであり、
それを知ろうとするか、しないかの差で、
現場での初期対応が大きく変わる。

テレビの中の出来事として他人ごとと捉えるか、
自分だったらどうしよう?と自分ごとと捉えるか。
これにより大きく変わってくる。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
という言葉があるが、
リスク管理は歴史を振り返れば様々な知見を得ることができる。

歴史を知ることの重要性を再確認していただきたい。


② 指針の作成

現場で速やかに行動するためには、
全員が参照できる指針が必要となる。

誰が何をやるのか?
誰が決めるのか?
判断基準は何か?

全てをトップの判断を待っていては初期対応が遅れるし、
トップにかかる負担は果てしない。

今回の新型コロナウイルスの初期対応も、
弊社から会員様にお送りしたガイドラインによって、
スムーズに運営できたというお声も多数いただいた。

指針はトップの頭の中ではなく、
誰もが目で見て確認できることが必要である。

今こそ、指針を書面化することにチャレンジしてほしい。


③ 指示系統

リスク発生時にトップが常に現場にいるとは限らない。
貴院には自分の代わりに判断するメンバーはいるだろうか?

能力ではなく、ルールとして決めておくこと。
指針があれば、まずはその通りに進めることができる。

しかし、現場で指揮をとるメンバーがいない限り、
現場には不安が充満する。

指示系統の優先順位を明確にするだけで、
スタッフが安心できることを知っていただきたい。


④ 内部での情報共有・蓄積

リスク対応は非常に労力のかかるものである。
そのため、解消すれば一息つきたい気持ちも分かる。

しかし、経験ではなく歴史を大切にするのであれば、
対応方法を共有し自院の財産として蓄積すべく、
明文化・データベース化することが必要となる。

スタッフ個々にとっては所見でも、
病院にとっては数回目のこともある。

病院という組織を運営している以上、
社会的責任も伴っている。

飼主様の目はますます厳しくなっていく。
従業員は退職により変わるかもしれないが、
飼主様は変わらない。

また同じことを・・・にならないよう、
内部での共有・蓄積を進めていただきたい。


⑤ 外部への情報公開 

SNSが発達し、情報が溢れる時代では、
自院の知らぬところで情報が先走ることがある。

良いことも悪いことも含め、
情報公開の姿勢により、
信頼を勝ち得るか、失うかが決まってくる。

組織の姿勢について考えていただきたい。