北野です。
新型コロナウイルスの猛威により、
リスク管理の重要性に改めて気付く方が多い。
そのような背景で、
第77回SNC経営セミナーとして、
「もしも・・・」に備えるリスク管理セミナーを
急遽開催することにした。
今回は特別ゲストとして、社会的インフラに欠かせない
電力供給面からのリスク管理として、
関西電力の方にご講演もいただいている。
動物病院において特に参考となるような、
人の医療機関での取組をご紹介いただいている。
会員の方はぜひご覧いただきたい。
そんなセミナーから、
動物病院におけるリスク管理のポイントをご紹介したい。
ポイントとしては大きく5つあり、
① 事前シミュレーション
② 指針の作成
③ 指示系統
④ 内部での情報共有・蓄積
⑤ 外部への情報公開
これらを予め定めておくことが必要となる。
① 事前シミュレーション
「もしも自分の身近で起こったら・・・」
そんなことを想定してあらゆるイメージをシミュレーションしておく。
多くのリスクは既にだれかがどこかで経験しているものであり、
それを知ろうとするか、しないかの差で、
現場での初期対応が大きく変わる。
テレビの中の出来事として他人ごとと捉えるか、
自分だったらどうしよう?と自分ごとと捉えるか。
これにより大きく変わってくる。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
という言葉があるが、
リスク管理は歴史を振り返れば様々な知見を得ることができる。
歴史を知ることの重要性を再確認していただきたい。
② 指針の作成
現場で速やかに行動するためには、
全員が参照できる指針が必要となる。
誰が何をやるのか?
誰が決めるのか?
判断基準は何か?
全てをトップの判断を待っていては初期対応が遅れるし、
トップにかかる負担は果てしない。
今回の新型コロナウイルスの初期対応も、
弊社から会員様にお送りしたガイドラインによって、
スムーズに運営できたというお声も多数いただいた。
指針はトップの頭の中ではなく、
誰もが目で見て確認できることが必要である。
今こそ、指針を書面化することにチャレンジしてほしい。
③ 指示系統
リスク発生時にトップが常に現場にいるとは限らない。
貴院には自分の代わりに判断するメンバーはいるだろうか?
能力ではなく、ルールとして決めておくこと。
指針があれば、まずはその通りに進めることができる。
しかし、現場で指揮をとるメンバーがいない限り、
現場には不安が充満する。
指示系統の優先順位を明確にするだけで、
スタッフが安心できることを知っていただきたい。
④ 内部での情報共有・蓄積
リスク対応は非常に労力のかかるものである。
そのため、解消すれば一息つきたい気持ちも分かる。
しかし、経験ではなく歴史を大切にするのであれば、
対応方法を共有し自院の財産として蓄積すべく、
明文化・データベース化することが必要となる。
スタッフ個々にとっては所見でも、
病院にとっては数回目のこともある。
病院という組織を運営している以上、
社会的責任も伴っている。
飼主様の目はますます厳しくなっていく。
従業員は退職により変わるかもしれないが、
飼主様は変わらない。
また同じことを・・・にならないよう、
内部での共有・蓄積を進めていただきたい。
⑤ 外部への情報公開
自院の知らぬところで情報が先走ることがある。
情報公開の姿勢により、
信頼を勝ち得るか、失うかが決まってくる。