2020年6月26日金曜日

地方病院特有の助成金の使い方

北野です。

新型コロナウイルス関連の助成金が多数出ている。
会員様には上手にこれらを使用しておられる方も多い。

弊社自身でも助成金申請を行っているが
申請が非常に面倒でもある。

世の中では有効求人倍率が低下し続けており、
減少幅はリーマンショック時よりも高くなっている。

一方で動物病院はまだまだ採用に積極的な病院も多く、
採用市場に影響が出始めるのは少し先になりそうである。

地方部では求職者側の希望数が都市部に比べて非常に少なく、
採用に苦戦していることも多い。

そういった中で、行政自体が人口増加を目的とした、
Iターン、Uターン、Jターンなどの補助金・助成金を用意していることがある。

都道府県レベルの取組もあれば、市区町村レベルの取組もあるが、
引越し費用の補助、家賃の補助、移住お祝い金のようなものまで幅広い。

中には2人以上世帯で引っ越してきた場合には100万円を支給するという行政もある。

もちろん申請には手間もかかるし、支給要件のハードルが高いものもあるが、こういったものを活用することで、実質的に金銭的なサポートを行政から受けることができる。

こういった助成金は「●●県 Uターン 助成金」などで検索すると調べることができる。
是非活用していただきたい。

2020年6月19日金曜日

始めての○○対策


北野です。

会員病院様で、子犬の新患が増加し始めている。

来院理由はワクチン、不妊手術相談、ちょっとした体調変化など様々のようである。

飼い始めの来院促進をどの程度行えているかは、各病院によって異なる。


長らく動物病院業界は新規飼育数の減少に伴い、メインボリュームを占める高齢動物への対応が主な訴求点であった。


会員様によっては、この春の仔犬の新規来院数は前年比300%のところもあった。

分析は今後行っていくが、まずは情報発信として飼い始めの飼い主様への情報が充実しているかは再確認する必要がある。

・初めての飼育
・初めての手術
・初めてのトリミング
・初めてのセカンドオピニオン

など、
動物との暮らしの中には様々な初めてがある。

こういった「初めての○○」というタイミングに来院した飼い主様は初期対応をしっかりと行えば固定化もしやすく、将来の資産ともなっていく。

これらの飼い主様に共通していることは、「何かしらの不安」を持っている点である。

その不安を解消もしくは、解消するヒントを情報発信することが、SEO対策の観点としてもますます重要になる。

初めての方への情報発信の仕方を改めて考えていきたい。

2020年6月12日金曜日

マーケティングで大事なこと

北野です。

春の予防シーズンが終わり、新型コロナウイルスによる影響が無い・少ない病院のデータ分析を行っている。

まだまだ途中なので、集計結果としてはまとまっていないが、現段階で感じられるのは、コロナ以前での病院の定着率が高い病院ほど、既存患者も新規患者も集まってきている、ということである。


当たり前のことのように思えるが、今後のマーケティングで必要な要素になっていると感じる。病院のファンをどう育成するかとも言える。

このことから考えると、価格や立地などの要素よりも、患者様との信頼関係構築がより重要になるだろう。

信頼関係構築で注意すべきは、
「組織としての在り方」と「発信の一貫性」であると考えている。

組織としての在り方とは、病院のスタンスとも言えるし、どういう存在意義でありたいのかというメッセージでもある。

発信の一貫性とは、病院から発信されるメッセージが短期的、中長期的に一貫性があるかということである。毎年言っていることが異なるというのであれば、メッセージ全体に対する信頼度合も低くなってしまう。

特に今年は毎年春に必須と伝えていた予防を、遅らせてもいいよ、という発信をしている病院もある。(毎年4月からの予防薬が必須と言っていたのに、今年は6月以降でもよいとしているなど)

この場合には長年積み重ねてきた発信との一貫性が無くなってしまった状態とも言える。今年はやむなしと感じるかもしれないが、来年の予防は苦戦する可能性もある。


こういったことから考えておきたいのは、以前のブログでも書いたように、病院から発信するメッセージは広告的なものではなく、広報的なものに変化させる必要があるということである。

広告は売ることを目的するのに対して、広報は信頼と共感を得ることを目的にする。この信頼と共感が患者様との関係を強固にするしファンを育成することにもなる。


ぜひ病院からのメッセージに一貫性があるかを確認していただきたい。


2020年6月6日土曜日

ソーシャルディスタンスと7割経済

北野です。

最近読んだ記事の中に、
7割経済というものがあった。

飲食店など今まで1メートルの距離でビジネスを行っていたものが、ソーシャルディスタンス(1.5mの距離を取る)のために、前と同じやり方だとコロナ前の最大で7割の売上になってしまうというものである。

つまり売上をコロナ前と同等にするには、
・単価を1.5倍にする
・空間を1.5倍にする
・営業時間を1.5倍にする
・損益分岐点を7割に下げる

などが必要となる。

最も理想的なのが単価を上げることではあるが、価値訴求はなかなか難しい。

多くの飲食店が行っているテイクアウトは店内での感染対策とともに、空間の拡張でもあると言える。


さて、
動物病院ではソーシャルディスタンスにおいて、どういうことが考えられるだろうか。

動物病院においては、飲食店のような空間的なキャパシティだけでなく、獣医師の時間的なキャパシティの2つを考える必要がある。


空間的キャパシティは、感染対策の基本となる3密対策として重要となる。

外待合や車内待機が定着してきているが、真夏や真冬の対応をどうするかは近々の検討課題となるだろう。

待合室を拡張するか、予約制の導入などを行い空間的キャパシティを調整するなどが考えられる。ここは、飲食店などと異なり対応が柔軟にしやすい。

むしろ、このタイミングだからこそ考えていきたいのが、時間的キャパシティについてである。

時間的キャパシティには2つあって、
1)マクロ的な時間
2)ミクロ的な時間
となる。

マクロ的なキャパシティとは、法的な労働時間というようなルールによるもので、週40時間を前提とすると、診療時間の制限も出るし、スタッフ数の制限も出てきてしまう。

ミクロ的なキャパシティとは、労働における各フロー1つずつの所要時間など、細かなことの積み重ねとなる。

beforeコロナ期は働き方改革という旗印のもと、病院側の内的な動機のみで効率化を進めていた。そのため、診療時間短縮など飼い主様に負担をかける取組などには踏み切りにくかった。

この数か月で状況は変わり、withコロナ期は感染対策という新しい旗印のもと、飼い主様の理解も得やすくなってきている。

前は長く時間をかけて説明しているという1診察あたりの時間の長さが満足にもなっていたが、今はむしろ長いということは密のもとにもなり、敬遠されることもある。

つまり、この期間内に従来の懸念点であった時間的キャパシティを内的な部分と外的な部分で改善して圧縮することができれば、Afterコロナ期においては、圧縮分の余剰を持って活動することができる。

業務フロー見直しによる時間短縮はもちろんであるが、対応時間の短縮&アフターフォローによる時間短縮なども今は進めやすい。

ピンチはチャンスでもある。
この時期に変革できた病院こそ、次の時代での強さにもなると感じる。