2022年4月29日金曜日

自由と規律

北野です。

組織運営を行う際に、どこまで任せてどこから指示するかの線引きを考えることがある。


管理し過ぎると自主性がなくなるし、無管理だと好き勝手がまかり通ることになる。


概ね新卒だと入社歴が3年を過ぎた頃、中途だと1年を過ぎた頃から職場や業務に慣れてきて自己判断を行うことが増えてくる。


組織の方針やルールに基づいた自己判断は歓迎されるが、そうでない場合には周囲への悪影響となることがある。


やっかいなのは、間違った自己判断をしているにも関わらずそれに気付いていない人である。さらに、自分ができる人間だと勘違いして自己判断しているような、ある意味で自己陶酔している人すらいる。


こうなるとやっかいで、本人の中の間違った正義をどう矯正していくかを考えないといけない。矯正できない場合には切除するしか方法がなくなってしまう。


こうならないようにするためにも、自由と規律のバランスを考えておく必要がある。また、自己判断が許される存在なのか否か、各人に理解させておくことも必要だろう。


規律を守れるからこそ自由が与えられる。

規律が最初、自由が次である。

この順番だけは理解しておきたい。

2022年4月22日金曜日

そのミスが組織改善に繋がる

 北野です。

新人が入り1カ月を迎えようとしている。


今回はそんな時期に考えておきたい話。


新人は「社会人の未経験者」、「仕事の未経験者」であるため、全てを完璧にこなせる人はいない。

何らかのミスをすることは当然である。


「ミスから学ぼう」というのは、聞こえのよい言葉ではあるが、学べるかどうかは病院の環境によるなと感じている。


ミスには「人為的なミス」と「システム的なミス」の2つがあり、入社後3カ月以内に起こるミスの多くが「システム的なミス」であることが多い。


教えられていないことにより発生するミス、流れが悪いことにより発生するミスなど様々であるが、現場は多くが「人為的なミス」として扱われることが多い。


学べる組織というのは、「人為的なミス」であっても、システムエラーが無いかを確認し、改善を積み重ねられる組織である。


何がミスの原因となったのかを探り、誰かの起こしたミスを組織課題として捉えられるかは重要である。


しかし一方で、「人為的なミス」として扱い続けると、個人課題に留まり、ある意味で個人攻撃を積み重ねることになってしまう。


こうなると、ミスをした新人はミスを隠したり誤魔化したりすることも増えてしまう。失敗したら怒られるから隠そう誤魔化そうという考え方になってしまう。


組織においては「ミスをする人」よりも「嘘をつく人・隠す人」の方が組織に大きなダメージを与えることになるが、これはミスをする個人ではなく、組織が産み出してしまっていることがほとんどである。


新人がミスをするのは当然である。そのミスはシステム的なミスではないか?という認識で組織の改善を進めていただきたい。


2022年4月15日金曜日

ゆるブラック

北野です。

働き方改革という名の下、労働時間や労働環境改善の動きが始まり、ブラック企業という言葉も一般化している。


働き方改革により「働きやすさ」は改善したものの、「働きがい」を得られない企業が増えているという。


仕事が緩すぎて成長できない「ゆるブラック企業」という言葉が出てきているという。


経営者達からは失笑が漏れそうであるが、イメージに反して働くことに意欲的な若手が多いこともあり、会社としては考えておきたいテーマである。


ある調査によると、「働きがい」のポイントが高い企業は残業時間が多く、有休消化率が低いが社員の士気が高く、1年後の売上高の伸びに相関しているという。


一方で「働きやすさ」のポイントが高い企業は残業時間も短く有休取得率も高く、1年後の営業利益の伸びに相関しているという。


拡大という攻めに入るなら「働きがい」を、維持という守りに入るなら「働きやすさ」が大切になるだろう。ただし、どちらが大切というより、そのバランスと比重をどちらに置くかとなり、どこでスイッチを入れ替えるかということが重要となるだろう。


今年から絆パーパス経営を提唱しているが、「パーパス」は「働きがい」に大きく寄与する取組である。


拡大タイミングにおいても考えておきたい。

2022年4月8日金曜日

効率と正確の狭間

北野です。

新人も入り、教育が本格化し始めている。


教育においては、ここ数回で何度か書いているので、そちらも参照いただきたい。今回も現場で感じることについて考えてみたい。


入社3年目くらいまでのスタッフをザックリと分類すると、

・仕事は速いが雑なタイプ

・仕事は遅いが丁寧なタイプ


2つに分かれてくる。


新人の頃の特徴としては、

前者は成長曲線が比較的速いタイプ

速い時期から比較的多くのことができる


後者は成長曲線が比較的遅いタイプ

→ 最初はあまり仕事ができない


という傾向が強い。


医療という特性を考えると正確性は必要だが、

経営という特性を考えると効率化も必要となる。


効率か正確性か二者択一でない以上、状況に応じた判断が必要となるため、仕事は速いが雑なタイプには正確性を増すための改善策を、仕事は遅いが丁寧なタイプには効率化を増すための改善策を個別に与える必要が出てくる。


当たり前のように見えることがなかなか改善が進まないのは、特性に応じた伝え方と改善策が伝わっていないことが大きい。


脳科学的には伝わるには2つのレイヤーがあると言われており、Why(物語)から入ってHowto(理屈)で伝えるということが重要とのことである。


脳を同心円的に見ると、真ん中にある部分は感情や理由を扱っていて、外側にいくにつれて論理や数字を扱うようになる。


言われたことをやらないという状態はスキルの欠如の場合を除き、「何か腑に落ちない」という心理状態になっていることが多い。


理屈では分かるが直感的に違和感ある状態である。脳の外側で判断しているため、真ん中に働きかけないとならない。


そのためには、相手の感情に働きかける必要があり、これには組織のパーパスや自身のなりたい姿などに結びつけることも有用である。


新人のうちから伝えておきたい。

2022年4月1日金曜日

ミニマム運営

北野です。

ある会員様では、今よりも少ない人員で今以上の運営を行える体制作りをイメージし始めている。


採用が難しくなってきていることもあるが、高い生産性の組織作りが様々な社会環境の変化に備えることができると考えているからである。


特に来年4月からは動物看護師の国家資格化に伴う看護師の業務範囲の拡大によって、獣医師業務の軽減も可能になると考えている。


ここ数年間でデジタルツールなどへのタスクシフティングを進めてきているが、さらに人へのタスクシフティングも合わせることで、より効率的な運営ができるようになるだろう。


今年は例年以上に採用に関するご相談をお受けする。それらの病院は設備も医療技術も労働環境も経営方針もとても素晴らしい病院が多くなっている。かつてのような3Kに近い環境はない。


それでも採用に困っているということは、1つには情報発信力の弱さという点もあるが、何というか従来の延長線上での運営となっており、素晴らしいのだが旧態依然としている印象を受ける。


M&Aによるグループ化の進行、専門科病院の増加、病院数増加・動物頭数減、スクリューフレーション基調というダイナミックに変化している環境下では、従来型の延長ではなく相応の体制変化が必要なのではないかと感じている。


そもそも人を採用することだけが解決策なのか?など今まで当たり前だったことを疑うことも必要だろう。

 

高い生産性を発揮できるということは、高い成長性、労働条件の拡充など組織としての魅力をさらに高めることにも繋がる。


未来の採用力強化を考えるうえで、今から準備しておきたい。