2019年9月27日金曜日

新人におけるティーチング


北野です

最近、若手スタッフの教育に関するご相談をよくお受けします。

若手スタッフが指示を受ける、教えてもらった時の最初は「分かったつもり」になっている、もしくは「分かっているけどビビって聞けない」ということがよくあります。

この時の教える側の対応としては、「分かった?」という一言で済ませることが多いと思いますが、ここが問題です。その一言だけですと、「分かりました」しか言いようがないでしょう。これを解決するには、指示をした際に理解度の確認が必要になります。

例えば、伝えたことを復唱させる、手順を説明させる、資料作成であれば手書きで下書きさせる、など頭の中にあるものをアウトプットさせることで理解度の確認を行います。

もし、分かっていなければこのタイミングで修正してあげることで互いのストレスも減らすことができるでしょう。

なかなか伝わりにくい場合には、「5WH」を意識して細かく伝えるようにしてください。
「なぜやるのか」
「なにをやるのか?」
「誰に対してやるのか?」
「どこでやるのか?」
「いつやるのか?」
「どのようにやるのか?」

特に最近は最初の「なぜ?」が重要になっています。
納得感が行動の質に影響が出るからです。

教育時は最初の理解度の確認から始めてみて下さい。

2019年9月20日金曜日

組織作りにおける対話の重要性

北野です。

現在、担当している会員様先でのコンサルティングテーマで
最も多いのが人にまつわる問題、
いわゆるマネジメント関連です。

特に組織の成長が早い場合に、中の人がついてこれていないなど、
次のステップに向かうための組織作りが増えています。

組織作りには様々な方法がありますが、
主な手順としては、①課題の見える化、②対話、③解決策の実行となります。

最近はどの業界も採用難ということもあり、
従業員の定着化のために従業員満足度調査などのツール導入が増えてきました。

こういったものを利用することで、
一定程度は組織の状態を数値化することができ、
現状の課題が見える化されるようになってきます。

本来はこの見える化された課題において、
自院で何を取り組むべきか、どのような方向性でいくべきかなどを
従業員との対話の中で解決策を模索し、取り組んでいくのが理想的です。

しかし、多くの場合はこの「対話」を飛ばし、
解決策の実行を行うことが多いでしょう。
対話を行うことで何らかの不満などの
ネガティブな要因が出ることを避けたいのが本音だと思います。

対話を避ける際に、スピード感を持って行うため、と言えば聞こえは良いのですが、
多くの場合には、いきなりの解決策の実行で現場に混乱が生じます。
現場が取組の必要性を納得していないため、
「また院長が何か当新しいことを始めたよ・・・」と思われるかもしれません。

このように正しいステップを踏まないと、
いずれにしても混乱は避けられないことになります。

組織の成長モデルの1つに「タックマンモデル」というもので、
チームの成長として、
①形成期 ・・・ チームが形成される
②混乱期 ・・・ 意見や主張のぶつかり合いが起きる
③統一期 ・・・ 互いに理解し合いルールが定着し始める
④機能期 ・・・ チームが機能して成果が出始める
という4段階が必要というものがあります。

つまり対話による混乱は②混乱期にあたるものとなり、
組織の成長のためには健全な状態でもあります。

収集がつかなくなりそう・・・という場合には、
対話をする相手を上位層に限定して始めることも有用でしょう。

組織の2:6:2の法則にしたがえば
上位2割のスタッフとの対話から始めるということです。

動物病院は忙しい職種のため、
対話の時間を作るのが難しいと、よく聞きます。

しかし、
「今の時間」よりも「未来の時間」を考えると、
この対話は非常に重要です。

組織作りは最初から全てが上手くいくわけではありません。
色々な失敗や混乱を経て前に進んでいくものだと考えています。

是非未来のために今から始めていただきたいと思います。

2019年9月13日金曜日

動物看護師国家資格についての最新情報

北野です。

動物看護師の国家資格について、
新しい情報が発表されましたので共有します。

既に農林水産省のHPに掲載されている情報ですので、
ご存知の方もおられるかもしれません。

【参考:農林水産省HP内 愛玩動物看護師】
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/index.html


(1)国家資格の受験資格

詳細は下記資料によりますが、
既卒者においては、専門学校・大学の卒業生と、
未経験からの就業において、
3年・5年という就業期間のルールが設けられています。

それぞれ、講習会や予備試験などの合格をもって、
正式な国家試験の受験資格となるようです。

なお、事前に言われていたような
統一認定資格の保有は受験資格には影響しないようです。

【参考:農林水産省HP内 愛玩動物看護師の受験資格について】
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/attach/pdf/index-2.pdf

最初の国家試験は令和5年までに実施となっていますので、
既存スタッフに受験を推奨する場合には、
計画的に準備をしておくことが必要です。


(2)業務可能範囲

法案決定時には未定であった、業務範囲が、
ある程度発表されました。

国家資格保有者のみができる業務として、

診療の補助
・獣医師の指示の下に行う採血
・投薬(経口など)
・マイクロチップ挿入
・カテーテルによる採尿など

が具体例として記載されています。

一方で無資格者でもできる業務として、
その他の看護
・入院動物の世話
・診断を伴わない検査など
・動物の日常の手入れに関する指導・助言
(グルーミング、爪切り、歯磨き等)

が記載されています。
これを見ると、現状の業務のほとんどが無資格者でも可能となります。

むしろ、有資格者がいることで、
現在の獣医師業務の役割分担を行うことが可能になりそうです。
診療効率を高めるためには有効になりそうです。

【参考:農林水産省HP内 愛玩動物看護師の業務範囲について】
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/attach/pdf/index-3.pdf


国家資格の法案が成立した際に多くの病院様で、
既存の看護師さんたちが、自分たちは働けなくなるのではないか?
という不安が出てきたこともありました。

今回の発表で、資格の有無による可能業務範囲が明確になりました。

動物病院においても、生産性向上・診療効率化が重要になっていますが、
有資格者がいることで、診療効率化が一段と進みそうです。

体制の変更まであと4年ほどありますが、
診療フローの変更、役割分担、採用、既存スタッフの受験など、
準備すべきことはたくさんあります。

是非、今から準備を進めていただきたいと思います。


2019年9月6日金曜日

新人教育で考えたい3つの要素

北野です。

4月に入社した新人が半年を迎え、
成長に差が出始める時期になりました。
この時期は新人の教育についてのご相談が多くなります。

獣医師であれば、
「診察に全く出ようとしない」
「看護師業務ばかりやろうとして獣医師としての業務をやらない」
といった感じでしょうか。

こういった場合に、オススメするのが、
①Will-②Can-③Mustという3の要素を考えるということです。

①Will 本人がどうなりたいのか
②Can 本人は何ができるのか(自分にはできそうという自信)
③Must 本人は何をしなければならないのか

本人のモチベーションが最も高くなるのが
この3つの要素が重なるときとなります。

この①Will-②Can-③Mustを進める歳には、
まず①Willの確認が重要となります。
上記のようなお悩みを抱える対象の新人スタッフは、
どういったWillを仕事に持っているでしょうか?

「何かやりたいことある?」と聞いても、
ほとんどのスタッフさんが、「特にありません」と答えることがほとんどでしょう。

こういった場合には、質問の矛先を変えて、
「仕事で大切にしたい価値観」をいくつか聞いてみると良いかもしれません。

「正確に間違えずにできること」
「プライベートも大切にできること」
「とにかく早く成長すること」
など、何らかの答えは出てきやすいハズです。

これらの出てきた価値観について、
そう思う背景を深く聞いていってみてください。

「正確に間違えずにできること」
⇒ 昔飼っていた動物が誤診で亡くなった。
  それが獣医師になろうと思ったきっかけだった。

「プライベートも大切にできること」
⇒ 趣味の時間や家族との時間を持ちたい。
  仕事だけの人間にはなりたくない。

「とにかく早く成長すること」
⇒ 3年後には開業したいと思っている。
  今はそのための修行期間だと思っている。

など、価値観の背景には事情や理由があることがほとんどです。
こういった部分を聞き出していくことで、
本人の①Willを引き出していくことができるでしょう。

弊社独自のアンケート調査でも明らかになっていますが、
獣医学生が職場探しに求める上位基準に「成長できること」というものがあります。
つまり、学生時代には、ボンヤリながらも何らかの①Willを持っており、
それを実現できる場所を探しているといえます。

入社後は、社会人としての環境や変化や自身の技量・経験不足という現実を突きつけられて、自信を無くすことがほとんどでしょう。その状態では、従来持っていた①Willを強く心に留めて日々を過ごせるような新人は稀有と言えます。

「成長させる環境を用意する」ためにも、新人スタッフの①Willを改めて引き出していくというプロセスはとても重要になると考えています。

お気づきかもしれませんが、
これらを行うには日常的なコミュニケーションが必要となってきます。
時間も根気も必要になるでしょう。

しかし、この時間は将来には数倍になってプラスの恩恵をもたらすことになります。
是非、将来の自分のために取組んでいただきたいと思います。