2020年11月26日木曜日

解決策は採用一択なのか?

北野です。

有効求人倍率が1.00に近づきつつあり、世の中では昨年までのような売り手市場からの変化が起こっている。一方で動物病院業界はさほど影響がないためか、まだまだ採用難が継続している。むしろ、コロナによってより採用が難しくなったとも感じている。

よく会員様からも採用を行いたいという相談をお受けする。多くは忙しいという問題の解決策として採用を行うことが多いだろう。本当に解決策は採用しかないのだろうか?そもそも最初から解決策を採用の一択しか考えていないのではないだろうか?
(根本的に人材不足という病院様も多くある)

例えば、10人の労働力で行っていた100の業務量が、忙しくなって110の業務量になったとする。そのため10/人(100÷10)の状態をキープするために、1人を採用して11人の労働力で行おうという考え方である。そうすれば10/人(110÷10)のままとなる。

しかし、「10/人」の状態が変わらないということは、組織としての成長が止まっているとも言える。つまり現状維持でしかない。

従来は採用活動を積極的に行うことで、中長期的な中でも採用が上手くいくことも多かった。しかし、最近は人材紹介経由でしか応募がないという状況も少しずつ増えてきている。求職者の職場探しの方法の変化や価値観の変化が起こっているとすれば、1病院がテクニック的に求人方法を改善しても以前のようなアクションは期待しにくい。もはやテクニック云々ではない可能性もある。

これらを踏まえると、現状の解決策を考える際に、「採用」の一択だけではなく、「今いる人員で今以上の成果をあげる」という業務改善や生産性向上策にも目を向ける必要がある。

実際に業務改善や生産性向上策を地道に積み重ねてこられた弊社の会員様では、今年も例年と変わらずに採用が出来ているところも多い。業務改善⇒生産性向上⇒職場環境向上⇒職場の魅力向上⇒応募者の期待値向上、というようなサイクルになっている。成長意欲がある組織に人は集まるのかもしれない。


業務改善や生産性向上策には、バックオフィス改善とフロントオフィス改善という2つの分野で行っていくとよい。飼主様と直接に関与しない業務をバックオフィス、飼主様と直接に関与する業務をフロントオフィスと分けている。

代表的なバックオフィス業務には、在庫・備品などの管理業務、経理・会計・労務などの管理業務などがある。代表的なフロントオフィス業務には、飼主様の電話対応、予約対応、問診、説明などがある。

実際に現場で取組んだ結果、バックオフィス改善によって院長の時間捻出、フロントオフィス改善によってスタッフの時間捻出が出来るようになっている。

特に獣医師・経営者・リーダーという3つの役割を担う院長の時間が増えるというのは最も大きな成果になる。今まで以上に目が届く範囲を拡げられるようになるし、新たな売上作りができるようになったというケースもある。さらには心の余裕も生まれてくる。

繰り返しになるが、本当に現状の解決策は採用の一択しかないのだろうか?
それ以前にできる解決策はないか?についても是非考えていただきたい。


2020年11月20日金曜日

前始末と後始末

北野です。

コロナの影響もなく、多くの外来がある会員様が多い。このことは、我々としても非常に嬉しい限りである。


一方で、診療時間が終わってもスタッフが残業をしていることも多く、なぜこんなに仕事が終わらないのだろうという院長先生も多い。


今回はこれについて考えてみたい。


この問題の本質は、

1)院長自身のスタンス

2)前始末

3)後始末

という3つに分けて考えることができる。


まず(1)院長自身のスタンスについてであるが、残業がほとんど無いという病院様に共通しているのが、院長自身が絶対に残業したくないと考えていることが多い。


勤務後にジムに行く、家族との時間を過ごしたいなど、早く終わる理由があり、それに向かって仕事をしているケースである。


この点については、先生ご自身がどうなのかを今一度振り返っていただきたい。



次に(2)前始末についてである。

これは事前準備とも言えるものである。

残業してまで行っている業務が、そもそも診療時間後でしかできない業務なのかを検証する必要がある。


つまり、診療時間中に予め小まめにでも行っておけば済むものを先延ばしにしているものはないのか?ということである。


もちろん緊急対応など突発的なものや、忙しすぎてできないという日もあるであろうが、これが言い訳に使われていないかも検証が必要である。


また、診療時間中に行うためには、その業務自体の必要性ややり方自体が適正なのかも考える必要もある。特にやり方については、長年の蓄積によって複雑化しいることもある。今一度振り返っていただきたい。


最後に後始末である。

これは片付けとも言えるものである。

病院業務は複数人で行うため、次に使う人のためにも出したら片付ける、整理整頓、定物定置などを徹底することも重要である。


スタッフさんが何かを探し回っている風景をよく見るが、この時間はもともと無駄な時間である。こういった細かな無駄が時間だけでなく思考を止めることにもなる。


このように、日常的な後始末を心がけることが労働時間の短縮にも繋がっていく。


日常の当たり前をぜひ疑っていただきたい。

2020年11月13日金曜日

WEBサイトで大事なこと

北野です。
多くの会員様でWEB対策強化によって多くの新患が来るようになっている。


WEBサイトの重要性は誰もが感じるところではあるが、
WEBサイトがどうあるべきかを考える病院は少ないと感じる。


新患の場合はGoogleでの検索にて病院を知るため、Google対策が重要となる。Googleは年に数回、検索順位を算定するアルゴリズムを変更している。これは、検索者にとってより良い検索体験を提供するためである。このアルゴリズムも時代によって大きく変化している。


弊社では数年前からSEOの専門家を顧問に迎え、定期的に情報のアップデートを行っている。GoogleにおけるSEO対策は情報収集だけでも専門家の力を借りないと間に合わないほど変化が速い。従来は自社内での分析をメインにしていたが、より質の高い情報を会員様へという想いで顧問を迎えることにした。


顧問からの情報によると今Googleが重要視しているポイントは6つあるという。その中で最も重要になるのが「関連性」ということであった。関連性とは、検索者が使用する検索キーワードとHP内部のコンテンツとの関連性となる。


Googleからすると検索キーワード(問い)に対して最も関連性の高いサイト(答え)を上位表示しやすいということである。こう見ると一見、当たり前ではあるが、対策が出来ている病院は非常に少ない。それは、病院がコンテンツを用意する際に、自院が伝えたいことを書いており、検索者が知りたいことを推測せずにコンテンツを用意することが多いからである。


これに対応するためには、

(1)検索者が知りたいことを知ること
(2)コンテンツは知りたいことだけが書かれた内容にすること
(3)それ以外のページへのリンクは極力減らすこと


等を行うことが望ましい。

また、自院が上位表示させたいキーワードでの検索結果で上位表示しているサイトをしっかりと調査することも必要となる。


WEBサイトを改善する際は、自院の中のことではなく、飼主様(検索者)と他サイト(競合)の2つをしっかりと意識しなければ、どんなに良いコンテンツを作ったつもりでも、そえが自己満足にしかならないことになる。


Googleの検索結果に表示されて初めて良いコンテンツと言える。
是非、自院のWEBサイトを調査していただきたい。


2020年11月6日金曜日

個人か仕組みか

 北野です。


新入社員が入り半年経つ10月頃になると、新人達の成長に差が出始めてくる。


期待通り、期待以上の場合はよいが、上手くいかないスタッフを見るのは辛いことでもある。


成長しているかどうかについては、できていることが増えているなどの長所を見ることが望ましいが、何回教えてもできないなどの短所に目がいきがちになってしまう。


短所に目がいくのは人の特性ではあるが、長所を見る意識は改めて持っておきたい。



今回はそういった中で、何回教えてもできないスタッフに対してどう改善させるかを考えてみたい。


原則として、失敗することやできないことは問題ない。同じ失敗を繰り返す、できない状態が続くことに問題があると考える。



繰り返すということは、その仕事への準備や意識に欠けているということである。本人の能力やキャパシティの問題もあるので、まずはキャパシティを下げることから考えてみる。


一方で、その失敗をスタッフ全体や新人全体の何割が発生させているかによって対応は変わることも知っておきたい。


感覚的には40-50%を超えるなら、仕組みの問題。それ以下なら個人の問題であると感じる。


目的をどこに置くかにもよるが、新人の場合は特に本人を成長させることよりも、任せた業務を遅滞なく確実に行えるほうが優先順位は高い。


出来ることが増えれば自信にもなり、成功体験によって成長する。なので、成長は結果論と捉える方が両者にとって良い結果にはなりやすいと感じる。


しかし、40-50%程度の新人が上手くいかない業務があれば、それは個人の能力ではなく、やり方や仕組みに問題があると考える方がよい。


長年の中で複雑化していたり、感覚的なものが必要になっていることもある。実際にやり方そのものを検討したことにより、大幅にミスが減ったということも珍しくない。


教育を考えるときに、多くの場合は個人の能力や姿勢のみに焦点が当たりやすいが、その仕組みに対して焦点が当たることはほとんどない。


思い当たる場合は是非、仕組みについて振り返っていただきたい。