2021年8月27日金曜日

そこに戦略はあるか?

北野です。

最近よくセミナーで戦略の重要性についてお伝えしている。

理由としては、
1.グループ病院との競合
2.有限な経営資源の効率配分
3.明確さ
の3つとなる。

多くの病院に、
「貴院に興味がある病院があります!」みたいに
M&A仲介会社から案内や電話が来ることがあると思うが、
見えない中で国内系・外資系・ファンド系などが、
病院を買収してのグループ化を進めている。

資本力や専属人員などの経営資源をフルに活かした
動物病院経営を今後一層強化してくると思われる。

しかし、病院名は変わらないことも多く、
外からではグループ化されたことが分からない。
そのため気づいた時にはなぜか患者が流れているということも
出てくるかもしれない。

こういった未来に対応するためには、
自院の持つ限りある経営資源(人・物・金・情報・時間)を
有効的に配分して使用する必要がある。

グループ病院と比較すると、
専属スタッフがいる分、
人と時間についてはかなりの差が出てくるだろう。

また、1本筋の通った方針・目的があることで、
病院全体でまとまりが生まれ、
新たな取り組みへの納得感も生まれやすい。

従業員の60%程度は変化を嫌うもの。
この60%をどう動かすかは理屈ではなく、
感情から生まれる納得感が重要。

戦略とは、目的を達成するために
限りある経営資源を「どこに」、「どの程度配分するか?」
という選択をすることである。

来年に向けて今から考えていただきたい。

2021年8月20日金曜日

欲を持つ

北野です。

先日ある経営者の方の講演を聞いた。


その中で印象的だったのが、

「欲を持つことの重要性」であった。


欲と言うと、下世話な表現に聞こえるが、

マズローの欲求説に代表されるように、

本来人は欲求を持って生きている。


最終段階として自己実現欲求があり、

開業したということも、

何らかの実現欲求があってのことであると思う。


コロナ以降、様々な要因により、

知らぬ間に欲求が制限されるようになっている。


本来人は、

欲求があるからポジティブになれる。

欲求があるからリスクも負える。

欲求があるから面白くなれる。

欲求があるから行動できる。


欲求とは、経営者の根っことも言える。


普通に過ごしていれば、

欲求を抑える生活になる。


表に出せる欲求と、

表に出せない裏の欲求とがあると思う。


ぜひ自身の欲求を思い出し、

動き出す原動力としていただきたい。

2021年8月13日金曜日

数値目標

北野です。

会員動物病院様と、来期の目標を話し合うことが増えてきている。


目標は達成できたことを認識できるように、

売上や外来数、新患数、手術数、採用数など、

数値化できるものを選ぶことが多い。


売上規模が一定以上になると、

診察室や診療時間、獣医師数などのキャパシティ要因によって、

売上の限界値が見え始めてくる。


こういった場合にキャパシティ要因を開放する取組で

目標設定を行うこともあるが、

最近は売上ではなく利益目標を用いることも想定しておきたい。


動物病院数は増加し、動物数は減少することは目に見えており、

従来のような売上拡大を目標とできる動物病院は少なくなっていく。


また、新型コロナウイルスで小康状態になっているが、

働き方改革という課題も根強く残っているし、

今年10月には過去最大の最低賃金の上昇が迫っている。

(余談ではあるが日本は世界的に見ると先進国の中で最低賃金は低い方である。)


さらに再来年には動物看護師の国家資格化も迫っており、

有資格者の手当など給与水準について悩む院長先生もおられるであろう。


このように、売上という外枠の目標のみでは、

知らぬ間に経費が増えていき、増収減益を繰り返す恐れもある。


一般企業の中には、「同じ利益額を得るなら売上は小さいほうが良い」

という考え方もある。


これはしっかりと利益を出すためには、

損益計算書ベースの段階ごとの利益を把握し、

改善を繰り返すということでもある。


売上増を目標とすると顧客獲得が第一優先となるが、

利益増を目標とすると価格改定や経費コントロールなど、

取組む打ち手が大きく変わってくる。


来年に向けて、自院の目標をどこに置くかを考えていただきたい。


2021年8月6日金曜日

設計力と構築力

北野です。

トップに必要な能力として、設計力と構築力の2つがある。


設計力とは、利益の出る事業を設計するための力である。


構築力とは、設計したものを実行するために、組織を動かし細部を詰め形にするための力である。


これら2つの能力の掛け算が経営者の能力であり、組織規模に比例していく。


しかし、両者を高いレベルで持ち合わせている経営者は少なく、片方のみ高いレベルの方が多い。どちらかというと、設計力の方が高い院長が多いため、構築力を補うために、片腕となる人材を育てたり、実行部隊となる専任部署を立ち上げるなどが行われている。


会員様での様子を見ると、構築力を持つための人員が既にいるケースが多いが、構築力を高めるためのトレーニングを行えない、またはその人員に気付いていないことが多い。


トレーニングといっても、体系化されたものではなく、OJTで現場で実行しながら実行と検証を繰り返しながらやっていくしかない。


これには、トップの思っているスピード感や結果が伴わないこともあるため、忍耐力が必要になる。しかし、ここで取り上げてトップが手を出してしまうと下の成長を妨げてしまうことになる。


先行き不透明な時期に行うには、不安のある取り組みではあるが、今がそのタイミングであると感じている。


コロナによる影響は動物病院業界はほぼ受けていない。むしろ、所得の使い途として医療費に振り分けられている感じもある。


しかし、数年後には今の主要売上となっている高齢動物が減少するため、必然的に競争が激しくなっていく。


その時にトップ一人の力で立ち向かうのか、片腕とともに立ち向かうのか。これにより、スピードや結果に大きな差が出てきてしまう。


この時期だからこそ、構築力を高めるための人材育成に取り組んでいただきたい。