2022年5月27日金曜日

学習歴社会

北野です。

平均寿命が延び、定年も引き上げられ、働く期間が長くなりつつある。


従来は人材を評価する尺度の1つになっていた学歴てはなく、その人が何をやってきたのかを見る学習歴という考え方が出てきている。


動物病院業界で学歴はあまり馴染みがないため、ピンとこないかもしれないが大企業を中心に年功序列型が残る企業ではまだまだ色濃く残っている。


学習歴が注目されるようになった背景にはブロックチェーン技術の発展やオンライン学習の定着がある。


どこにいても世界各国の学びを受講できるし、学んだという実績をブロックチェーンを用いて記録できるようになっていく。


動物病院においては、臨床経験年数や認定医資格の有無、どこの病院で勤務していたか、どの研究室を出たかなどが近い要素かもしれない。


現場感では認定医資格を持っていても知識はあるけど臨床現場では絶対的なプラスにならないという声もある。


結局、「何を持っているか?」ではなくて、「何をやっているか?何を学んでいるか?」という経験値ベースの評価が必要になってくる。


Aという獣医師は、

・何の症例を何件やってるか?

・何の手術を何件執刀しているか?

・新患を何件担当したか?


など、可能な範囲で収集していく。



実はこれ、もう少し大雑把な単位ではあるが、ある会員様では定期的に勤務医ベースで集計をしていて、採用活動に役立てている。


入社何年目でこれだけやってますよ、というアピールになるが、これが学生たちにポジティブな印象を与えている。


上記のオンライン学習などが日常となった学生たちには、未来に向けた臨床現場での学習歴というコンセプトは、自身の成長や経験値を体感しやすく身近に感じやすいかもしれない。


方法含めて今後模索していきたい。




2022年5月20日金曜日

意味変と意味売

 北野です。


動物病院数も増加してきており、予防やフードなどの医療技術以外は、どの病院に行っても同じものが手に入るようになっている。


特にフードやサプリなどの小売り商品はネット通販でも購入することができるため、扱いを減らす動物病院も出てきている。


小売り商品は在庫管理、賞味期限管理や発注業務など、様々な付加業務が発生することもあり、業務効率化の課題となることもある。


取扱いを続ける、削減するかどちらが正解かは病院の状況によって変わってくる。販売による利益と人件費などの諸経費を比較して、収支状況によって判断するという方法もある。


もし、取扱いを継続するならば、病院で買うことの意味を付加することを考えていきたい。


これには山荘のレイヤーがあると考えている。一層目は自身の動物へのポジティブな効果、二層目は病院で買うことで何らかの社会貢献に繋がるなどのポジティブなアクション、三層目はこの病院で買いたいというようなブランディングである。


二層目以降が意味変となり意味売りとなってくる。ここの部分が強くなることができると、小売り商品のみならず、病院の差別化・競争力の強化にも繋がってくる。


病院全体のブランディングというのは難しさを感じるかもしれないので、まずは小売り商品の意味変と意味売りから考えていただきたい。


2022年5月16日月曜日

広報型採用システム

 北野です。

採用において重要になるポイントの1つに広報があると考えている。


先日の採用セミナーでもお伝えしたが、学生インタビューを振り返ってみると、コロナの影響もあってか受動的になってる風潮がある。


「募集をしているか分からない」、「実習を断られたらどうしよう」、「自分に合う病院だろうか」など現地に行ってから判断するよりも、事前情報の取得に余念が無い。


これはマインドの変化というよりも、コロナによって「院内で感染者が出たから実習が急遽キャンセルになった」、「学校から県外移動を禁じられた」などの体験をしている学生が想像以上に多いことが要因となっている。


また、なんの接点もない病院にアプローチするというのもなかなか考えにくいだろう。


新卒学生であっても人材紹介を利用するというのも頷ける。希望条件を言えば自分に合った病院を提案してくれるし、言いにくいことも聞いてくれる。


時間のコスパがよいということにもなるだろう。


ただし、人材紹介には病院側が費用がかかることも分かっており、できるなら利用せずにいきたい。。。という声もある。


これらを踏まえていくと、病院側がどう情報を出していくかということが解決策になっていきそうである。どんな病院か、どんな人がいるか、どんな雰囲気か、広報的な視点で情報を出し続けていく。


情報はストックされるため、この先数年にわたって活用していくことができる。


より効果的に活用するには、学生に見に来てもらうプル型媒体と届けるプッシュ型媒体の2つを用意して使い分けを行うことである。


採用に力を入れる場合は候補的視点を取り入れていただきたい。

2022年5月6日金曜日

ご意見とクレーム

 北野です。

先日会員様でクレーム対応についての相談があった。詳細は差し控えるが、動物病院様ならどこもが経験するような内容である。


そのため、対応自体は問題なく進んでいくが、どこまで対応すべきかということが課題となる。問題について訴えている飼い主様の声を「ご意見」と受け取るか「クレーム」と受け取るか、対応の線引きをどこで区切るか?を決めておく必要がある。


お客様は神様ですのように考えて、対応の線引きを越え続けてしまうと、不均衡がうまれて「前は対応してくれた」、「あの人はよくて何故私はダメなのか」というような負のスパイラルに陥る。


こういったことを防ぐためには、ルール設計と線引きの2つが必要となる。


飼い主様からお声が出るということは、何らかのルール設計上の不備がある可能性が大きく、その改善に全力を注がなければならない。


お声への対応に振り回されて終わりではなく、その改善に時間と労力をかける必要がある。ルール整備に自信が持てるようになると、「ご意見」と「クレーム」の線引きも行いやすくなる。


またクレームにははっきりと「No」を言えるようにもなる。ルール設計にしっかりと目を向けて時間をかけていただきたい。