2021年6月26日土曜日

ワクチン接種が進む前に決めておくべきこと

北野です。

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、従業員の接種時期も近づいてきている。


東京では東京都の大規模接種会場で獣医師・獣医療従事者への接種が開始されることも発表されている。職域接種は一定以上の接種対象人数や打ち手医師の確保が必要となるため、地域によっては7月以降順次となる場合も出てくるであろう。


院長先生と話していても、接種に対する肯定派・否定派とおられるため、各病院とも接種に対する基準を明確にする必要がある。原則として各病院の方針ではあるが、決めておくべきは以下になると考えている。


なお、弊社会員様には後日、従業員に方針を示すための参考文例を送らせていただく予定である。今しばらくお待ちいただきたい。


(1)接種における姿勢

国としてワクチン接種を推奨してはいるが、副反応の問題もあり、特に若い女性には不安を感じる人も多い。そのため、接種についての基本姿勢を病院として決めておく必要がある。


参考文例としては以下のようなものである。


“ワクチンを接種するか否かは個人の自由であるため、本人の裁量に委ね、強制することはありません。接種に関する情報を自身で確認し、家族やパートナーなど近親者と相談の上、決定してください。”


(2)接種日に休暇を与えるか否か

特別有給休暇として付与する会員様もおられるし、固定給や通常の有休を原則とすることもある。こういったルール付は必要となるであろう。


(3)休暇取得日数

副反応の可能性を考慮し、2日間の連休取得を推奨している会員様もいる。この場合も(2)の取り扱いと同様にルール付は必要となるであろう。


(4)接種者と非接種者の区分け

最も難しいのは、自身の判断で非接種を希望する従業員がいた場合、接種者との区分けを行うべきかという点となる。業務内容は区分けすべきではないが、従業員同士の関係性を考慮しつつ、休憩室を区分けするなどの措置が従業員側から求められるようになるかもしれない。原則として非接種者を差別扱いしてしまう可能性は排除すべきであるが、従業員の心情に配慮していく必要がある。



このように、ワクチン接種が進んでいき、少し明るい未来が見えつつある状態ではあるが、従業員の心情を大切にしておかないと、従業員との関係性が壊れる可能性も出てくる。

今のうちに準備を進めていただきたい。


2021年6月18日金曜日

意味を変える

北野です。

女性専門調査会社の最新の報告書によると、商品やサービスの購入基準が「イギ」に変わってきているという。今までの変化をみると「モノ」⇒「コト」⇒「イミ」⇒「イギ」となっている。


昨年からの新型コロナウイルスの影響にて価値観の変化が起こっているというのは、よく耳にする言葉ではあるが、「それを購入する意義」を重視するようになったという。


SDGs(Sustainable Development Goals【持続可能な開発目標】の略称)や、レジ袋削減、地球温暖化対策などに代表されるように、我々の消費行動による影響と消費する意義とを比べて考えるとも言える。


そのため、企業側にとってみれば納得させる材料を用意する必要が出てきている。獣医療はそもそもが「生命」という根本的意義に関わる分野を扱う業種であるため、価値観変化の影響はそもそも受けにくい。


一方で、動物頭数減少、動物病院数増加というここ数年変わらない競争激化トレンド禍においては、限りあるパイを奪い合う構図になってきているため、新業態付加、業態専門化、業態ズラシのような新たな切り口の開発が必要になる。


ここ数年でみると、「猫ブーム」に則した「猫特化」で猫専門分院の開院、猫専門診療時間帯、ISFMの認証取得などが代表例である。ただし、これらは上記の「モノ」⇒「コト」⇒「イミ」⇒「イギ」というプロセスにおいては、猫専門病院に通う意味という段階であり、意義の段階にはまだ踏み込めていない。


意義の段階に踏み込むにはもっと包括的に訴求を行っていく必要があるが、医療的な専門や性独自設備など明確な差別化となる要素も併せ持たないと「イギ」は訴求しにくい。


こういった場合は、「イミ」と「イギ」の間くらいのイメージで、「意味を変える」という手法をお勧めしたい。先ほどの「猫特化」でいけば「猫だけが来院するので犬を気にせずに安心できる場所」から、「猫好きだけが集まる社交場所」というように、競合他社とは違う意味を付加していくことで差別化を行っていく方法である。


動物病院業界には、まだまだ「意味を変える」ことで強化できるポイントがあると感じている。ぜひ、自院のサービスで考えてみていただきたい。


2021年6月13日日曜日

コミュニケーション活性化

 

北野です。

新型コロナウイルスによる影響が出て1年が経過した。


世の中の生活様式が一変し、コミュニケーションのあり方も変わってきている。

昼食も個別にとり、歓迎会・送別会も中止など、感染対策のためには仕方がないとはいえ、業務外でコミュニケーションをとる機会が激減した。


1年経過したことで、スタッフ個々の感染対策意識も高まり、パーティションなどの対策グッズも充実してきたことから、少人数制の院内会食を開始する病院様も出てきている。


人数は4人以内、スタッフ間にはパーティションを設置、十分に換気できる場所、時間は1時間以内などルールを厳密に定めたうえで数グループに分けて行うこととした。繁忙期に入社した新人スタッフともコミュニケーションをとることもでき、昨年1年間には見られなかった明るい表情をしていたスタッフもいたという。


開催には賛否あるであろうし、別のコミュニケーション手段を模索することも必要かもしれない。しかし、スタッフを信用することができれば、このようなイベントの開催も可能になると感じている。


自院の状況を見てトライしてみていただきたい。


2021年6月5日土曜日

グランドデザインと意思決定

 北野です。

組織体が大きくなるにつれ、階層構造、役割分担などの分散が拡がっていく。


人が管理できる限界数は一般的に5-7名と言われており、マネジメントを行う上で業務や管理階層の分散は欠かせない。


世の中の平時・非常時、雇用における売手市場・買手市場状況など、外部環境によってマネジメントスタイルも変えていく必要があるが、今のような非常時の売手市場においては、トップダウンのグランドデザインに基づいた意思決定プロセスを整備する必要があると感じる。


非常時には、スピードが重要であるため、ボトムアップを待っている時間はなくトップダウンが必要となる。


一方で売手市場では雇用定着を考える必要があるため、いわゆる無茶振り丸投げなどのトップダウンは避けなければならない。


これらを踏まえると、まず全体が参照する方向性や道筋といったグランドデザインを整え伝えつつ、その範疇での権限移譲や意思決定プロセスの決定を分散していくことが重要になる。


分散とは経営においては手段の移譲でしかなく、目的を定めるのはトップの役割である。ここを明確にトップが自覚することが必要となる。


その上で、分散の中では目的と手段の切り分けを意識させ、手段が目的化することを防ぐ必要がある。


無茶振りや丸投げが発生する場合の多くが、受取手側が、手段が目的として理解してしまうことで発生している。目的が理解できていないために、指示が不明瞭となり、無茶振りと感じられてしまうということになる。


では、伝え方を工夫する、下の理解度が成長するのを待つかというと、現実的ではない。スピード感が圧倒的に落ちるし、相手のレベルに常に合わせる必要が出てきてしまう。


そういったことを防ぐためにも、方向性となるグランドデザインを整えることで「何のために?」という目的を統一させることができる。


そして、目的と手段を常に連動させるコミュニケーションでマネジメントを行っていく。こうすることで、程度の幅はあるものの方向性をずらさずに取り組んでいくことができるようになる。


院長のリーダーシップがより重要な時代だと言えよう。