2020年1月31日金曜日

動物病院における同一労働同一賃金の影響

北野です。

大企業では2020年4月1日より同一労働同一賃金がスタートします。
(中小企業は2021年4月1日より開始となります)

今はまだマスコミでも大きな報道はありませんが、
3月後半以降はこのテーマに関する報道も増えてくるでしょう。

【参考1:厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

この同一労働同一賃金の基本的な考え方は、
常勤と非常勤(パート・アルバイト・契約社員)間での待遇格差を無くさないといけないというものです。

待遇とは、
(1)賃金関連
 ・ 基本給
 ・ 賞与
 ・ 各種手当
(2)教育訓練・福利厚生
 ・ セミナー参加などの教育機会
 ・ スタッフルームなどの福利厚生施設の利用

などを支給する基準を常勤と非常勤の両方で同一にすることが求められます。

もちろん常勤と非常勤では勤務する時間が異なりますので、
給与体系が異なっていたり、賞与額が異なっていたりのような
金額差が発生することは問題が無いといえます。

しかし、常勤には支給するけれど、非常勤には支給しないというのは不可能になります。

現状は、厚生労働省のHPに特集ページがあり、ガイドラインも出ていますが、
具体的に何をやればいいの?という点はまだまだ疑問が残っています。

【参考2:厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン】
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

まずは大企業で施行されての状況を見ての対応にはなりますが、
動物病院様でも今から想定しておくべき内容を記載します。

1)退職金制度
2)皆勤手当
3)食事手当(昼食サポートなど)
これらの制度がある場合には、常勤・非常勤を問わずに制度の適応が求められます。
そのため、制度の存続を含めて検討する必要が出てくるでしょう。

4)昇給
最も悩ましいのが昇給額についてです。通常、常勤スタッフは賃金テーブルに基づく昇給となりますが、パートスタッフの賃金テーブルがあるケースは少ないといえます。
またパートスタッフの昇給額は10円~50円単位などの上げ幅がほとんどですが、この昇給額についても常勤スタッフと同じ額が求められる可能性もあります。


繰り返しになりますが、同一労働同一賃金については、まだまだ具体的な対応策が見えない部分も多くあります。

しかし来年春には動物病院においても対応が求められることになります。
弊社でもセミナーや勉強会などで対応方法をお伝えしていく予定ですが、
先生方も情報にアンテナを張っていただくことをおススメします。

2020年1月24日金曜日

患者体験の向上


北野です。

世界各国で伸びているビジネスモデルを見ると、
顧客体験を重視している傾向にあります。

従来は商品(モノ)やサービス(コト)を提供して終わっていたものが、
アフターサポートやカスタマーサクセスを充実させ、
顧客との長期的に繋がりを持っていくモデルに変化しています。

動物病院の場合は、もともと継続的に来院しやすいビジネスモデルのため、
患者の固定化よりも新規患者の獲得に意識が向きやすいといえます。

ここ数年の動物病院業界をみると、
・犬頭数の減少
・動物病院数の増加
・動物の高齢化
などが起こっています。

売上は増加しており来院数は増加しているけれど、
実はカルテ数自体は減少していたということもあります。

つまり、カルテ数(動物個体数)自体は減少しているけれど、
動物の高齢化による、単価向上・来院回数増によって売上維持・向上している
というケースが多くあるのです。

今後は今まで以上に飼主様に継続して来院していただき、
長期間にわたって関係性を築いていける体制にしていくことが必要でしょう。

ここで重要なのが患者体験をいかに向上させることができるか?
という視点です。

動物病院に来る患者様は、病院以外では消費者として生活しています。
スーパーなどの小売店、飲食店などのサービス業、ネット通販、人のクリニックなど、
常に色々なサービスを受けています。

つまり、消費者でもある飼主様達は
常に新たな顧客体験を経験している人たちでもあるのです。


他業種よりも遅れていると言われている、人の医療業界ですら、ネット予約、自動受付機、タブレット端末での説明資料、オンライン診療、自動精算機、アプリによる医療情報の共有、電子カルテなど主にシステム面での患者体験の向上が先行的に行われています。

動物病院業界はどうでしょうか?
まだまだアナログ対応をはじめマンパワーによる対応が中心です。
この状況をどう見るか?
先手を打って対応できた病院が頭1つ飛び出せるということです。

2020年は5Gの登場など、世の中が飛躍的に進化し始める年になります。
顧客体験の向上について今年は真剣に考える必要があると感じています。


2020年1月17日金曜日

企画実施前後に押さえておきたい数字

北野です。

企画を実施した後に、スタッフさんから寄せられる質問に、
「何を改善すればいいですか?」というものがあります。

継続する・改善するにしても、数字で判断する必要があります。
押さえておきたい数字としては、下記のものがあります。

① 企画の訴求対象母数
② 企画の実施数
③ 企画の実施率(実施数÷母数)

これらを押さえていないと、間違った改善となってしまいます。

最近、あった例では「しつけ教室の入会が少ないので何とかしたい」
というご相談がありました。

「色々と告知をしているんだけど、入会が5件しかない。
入会を増やすためにも企画内容の変更をしないといけない」
というのがお考えでした。

ここで、この5件は多いのか?少ないのか?
これを判断するにはもっと大きな視点で判断する必要があります。

今回の訴求対象母数は、0歳代の仔犬となります。
ここ数カ月で来院している仔犬の数を調べると、15頭前後でした。
こうなると実施率は約33%程度となります。

5頭とみると少なく感じますが、実施率33%は妥当な数字にも見えます。
参考に過去の実施率を調べてみると、20%台~40%台程度でした。
昔は母数となる仔犬の数が多かったので、実施数も多かったということでした。

ここで次に対策として考えていくのは、
① 企画内容を変える
② 企画の実施時期を変える
③ 企画の訴求方法を変える

などがあります。
今回は、実施率については過去と同等なので、内容に課題があるというよりも、
訴求方法を再検討するほうが変化がある可能性がありました。

そのため、まずは告知方法から実施していくことになりました。

このように、数をしっかり見ていくと、改善の質も高まりますし、
原因の追究にも繋がります。

せっかく皆で力を合わせて行う企画です。
しっかりと成果が出るように、ポイントを押さえて改善したいものです。

2020年1月10日金曜日

Googleの新しいアップデート

北野です。
昨年12月よりGoogleが新しいアップデートを2つ行いました。

1つ目は、Googleの地図検索に関するもの
2つ目は、検索結果順位に関するもの
です。

今回の目玉は検索結果順位に関するアルゴリズムのアップデートです。
BERTアップデートと呼ばれ、AIによる自然言語処理を行うように変更されています。

検索結果は「検索キーワード」と「WEBサイトの内容」のマッチ度合いで順位が決定されます。「WEBサイトの内容」のマッチ基準が従来は「単語ベース」であったものが、今回から「文章ベース」へと変更されました。

つまり、単語単体での判断ではなく、文章全体での判断に変わったということです。
これにより、従来は単語が入っていることで上位表示できていたものが、今後は文脈として検索者の意図とずれていると判断されれば上位表示できなくなるということになります。

では、対策を急遽行わないといけないかというと、そうではありません。
弊社のセミナーや経営レポートでもお伝えしているように、Googleは一昨年から小まめにアップデートを重ねています。その対策と同じことを継続することで対応していただけます。

その対策とは、繰り返しになりますが、「検索者の意図に沿った情報をWEB内に記載する」というものです。今回のアップデートはこの対策を行っているサイトをより上位表示するようになるというものにすぎません。

現状会員様では大きな影響はありませんが、検索順位に注視する必要があります。

また、余談ですが、これらの一連の変更は、今後の検索の仕方が「音声検索」へ移行していくための準備とも言われています。
Androidが搭載されているスマホであれば「OK Google」、iPhoneであれば「Hey Siri」と呼びかければ音声検索ができる機能が備わっています。CMでもおなじみです。
また、スマートスピーカーと呼ばれる音声操作で行うスピーカーも増えてきました。

こういったことからも今後は「音声検索」というものも意識していく必要があります。
今後の検索のあり方にも注視していきましょう。