2021年4月30日金曜日

視点・思考回路の共有

 北野です。

4月より会員病院様では新人スタッフが入社してきている。今年は感染対策などのため、コミュニケーションを深くとることが難しい。


そのため、孤独感を感じさせないようにする必要がある。この辺りは以前のブログにも記載してあるので、気になる方は参照いただきたい。


教育には3種類あると最近考えている。

1つ目は、やり方教育

2つ目は、あり方教育

3つ目は、考え方教育

3つである。


医療機器の使い方、受付の仕方、保定の仕方など、具体的な手順が決まっており、やり方さえ覚えれば誰でもできるものが、やり方教育となる。


遅刻をしない、ホウレンソウをする、身だしなみを整えるなど、社会人として、また自院スタッフとして過ごすために必要なものが、あり方教育となる。


従来はここまでであったが、この数年の教育における課題を感じるにあたり、


このような判断をしているのは何故か?

どういったプロセスで判断しているか?

どういった視点で物事を考えるか?


というような、ある意味経験則に基づく、思考回路やプロセスというものを教育する必要があると考えるようになった。


新卒獣医師の診療教育においては、主訴から判断しての初期検査の選定、検査結果による確定診断を行うなど、既に考え方教育を行っている部分もある。


しかし、診療以外の患者対応やスタッフ間での課題解決などにおいても、同様の考え方教育を行わないと、各自のズレが発生し、何故こんなことになるのか?という軌道修正を何度も上が行い続けることになってしまう。


教える側にとっては手間と感じるかもしれないが、視点や思考回路を1度教えるだけで、適応し適切な対応を行えるようになるスタッフも多い。


そして、視点や思考回路を同じくするスタッフが増えると、それがさらに下にも伝播していく。


やり方は教えた、あり方も教えた、でも何か上手くいかないことが多い、という場合には、院長など上の役割が行っている、視点や思考回路の共有をぜひ行っていただきたい。

2021年4月23日金曜日

勤務医が残ると選択する時

 北野です。

先日、とあるご縁から勤務医さんと経営相談を行う機会があった。


実家に帰って病院を継ぐか今の勤務医を続けるか、どちらが良いかというものであった。


実情は複雑で個人情報にもあたるため、詳細は省くが、この勤務医さんとしては、戻るより勤務医であり続けることを希望してるように見受けられた。院長冥利に尽きる従業員ともいえる。


この方がどうしてそういう気持ちになっているかを推測のうえ、考察してみたい。


要因は大きく分けると3つで

1)役職任命

2)臨床外の役割

3)将来の見通し


となると感じた。


1)役職任命

この方は若くして分院長に任命されておられた。もちろん、ご本人の頑張りの結果でもあるが、若いタイミングに一定の責任感ある役職を任されているところに、院長先生の期待値と心意気を感じる。これにより、ご本人は色々な経験を早期にできていたと思われる。


2)臨床外の役割

分院長という役割の中で、後輩などの下を育てる楽しみを感じるようになったという。臨床以外でのやりがいや楽しさを感じさせることができていることは、役割意義を与えることにもなり、在職への魅力をより増させていると思われる。


3)将来の見通し

実家に帰るかの検討のために、院長へ今後の給与体系などの相談をされた際に、将来の給与イメージなどの話をしてもらえたとのこと。

そういった話に真摯に向き合われるだけでなく、将来の見通しを立てられる情報を即座に出せるようになっていることも安心感に繋がると思われる。



もちろん、前提として院長との関係性も大いに影響はしているであろう。しかし、こういった+アルファの要因を設けることで、価値ある人材の定着を促せるのだなと考えさせられた。


多くの院長に参考にしていただきたい事象であった。

2021年4月17日土曜日

抽象化と具体化

 北野です。

トップが組織にメッセージを伝えるときに抽象的か具体的か、どのレベル感で伝えるかを意識する必要がある。


抽象的過ぎるとシンプルになるが伝わりにくくなるし、具体化過ぎるとボリューミーになり焦点がぶれやすくなる。


先日、新たに会員になっていただいた院長と、病院のルールの浸透方法について議論した際にもこのテーマになった。


抽象的にするか具体的にするかの判断基準は難しいが、


・定義の理解度はどうか

組織の2割程度でも院長の言葉の定義を理解していると、抽象的でも媒介者を通じて伝わっていきやすい。一方で、入社歴が浅いもしくは若手スタッフが多い場合などは、より具体的である必要がある。


・短期的か長期的か

病院の根幹となる行動指針など、長期的なものについては、より具体的にすべきである。

一方で、年度目標などの短期的にものについては、抽象的でも問題ない。ただし、上記にあるような定義の理解度による


・解釈を変えるもの

大まかな意味合いは同じであるが組織の成長に従って言葉の定義をレベルアップしていくものなどがある場合は具体的にすべきである。その表現の変化によって求めるレベル感を変えていくことが可能となる。



これらのような観点で考えていただきたい。

言葉にすることは伝える上で非常に重要である。

ぜひ取り組んでいただきたい。

2021年4月9日金曜日

ターゲティング広告

 北野です。


ここ数ヶ月間で取り組んでいる施策にターゲティング広告がある。これはウェブ集客を目的としたものである。


代表的なものにリスティング広告があるが、他にもFacebook広告やリターゲティング広告などがある。


これらは、広告の対象者を想定し、特定の属性に合わせて配信するもので、リスティング広告であれば特定のキーワードに対して出稿するというような取組である。


従来は駅看板や電柱看板などで特定エリアに在住する方へ広告していたものをウェブ上に置き換えたものになる。


他業種では当たり前となっている取組ではあるが、動物病院業界ではまだまだ遅れている取組である。広告であるため、獣医師法の広告規制などに配慮する必要もある。


ターゲティング広告のメリットは、原則として見られた分だけ課金される仕組みであるため、固定費というより、変動費に近いものとなる。


また、クリック率や表示数などが数値化されるため、効果測定もしやすい。


またこれらの広告を組み合わせると、Aという広告を見た人に次はBという広告を見せる、Cという広告を見て自院HP内の特定のページを見た人にDという広告を見せるなど、様々なシナリオに基づいて広告訴求を行うことも可能となる。


これらを実現するには、

・自院HPのページの充実

・自院の特徴や強みの訴求LPページの作成

・閲覧想定者のペルソナ想定

・サイト遷移などのシナリオ作成

・各種施策の計測環境の整備


などが必要となってくる。


また、このターゲティング広告の面白いところは、単に広告費をかければ良いわけではなく、効果測定を行うことで少額で適切に運用が可能となるところである。特に早く始めれば始めるほどデータの蓄積を行うことができ、費用対効果も高くなっていく。


ぜひ、ターゲティング広告にも取り組んでいただきたい。

2021年4月2日金曜日

仕組み化

 北野です。

最近考えていることの一つに仕組み化がある。

整理の意味も込めてまとめてみたい。


仕組みとは、辞書的には、「ものごとのくみたてられ方。構造。機構。」となっている。


経営における仕組みとは、人に依存することなく同一以上の成果を上げられる構造体、と言えるであろうか。


仕組み化が重要だと考える背景には、

1)人材採用難

2)従事者の所得水準

3)メンタル安定

という3つがある。


コロナにより、有効求人倍率は低下し続けているが、動物病院業界においては、むしろ上昇している感じがある。理由としては、過去のブログでも考察しているが、臨床へ出る学生の相対的減少、女性獣医師増加による中途市場の停滞などがある。


一方で動物看護師の国家資格化により、獣医師の代替ができる可能性も出てきてはいる。


前提として忙しい病院や成長している病院は、忙しさの解消法として採用を第1に考える。採用が上手くいけば問題ないが、採用はある意味水ものでもあるため、行き詰まる場合も多い。今の業務モデルをそのまま継続する場合の思考である。仕事の増加分を新規採用で賄うというものであるからである。


採用難は今後も継続するとなると、人を増やすだけでなく、今の業務モデル自体を変化させていき、人員減でも回せることを目的とすることを考えないといけない。また、これは比較的経験値の少ない新規採用者が出た場合にも役立つモノにもなる。


人員減でも回せるということは、従事者の所得水準自体も向上させることもできてくる。分配の方法については、人員数との兼ね合いにはなるので、単なるベースアップではないルールの策定が必要になる。



この人員減でも回せる状態になるためには、病院業務モデルの仕組み化が欠かせない。


仕組み化の最も身近な例はコンビニである。店員には年齢や国籍など様々な層がいるが、実は複雑な多種多様な業務を少人数で回している。形あるモノを売るか否かの差はあるが、仕組み化が不可能ではないことを示している例である。


仕組み化を行うためには、正しい手順と判断の基準を明文化し、関わる全員がそれに従って行動できるようになると考えている。


またこれらの「やり方」だけだはなく、個々の組織で働く上での「あり方」についても統一されていることも重要である。


事業継承による世代交代、M&Aによるグループ化など、様々な変化も起こっている。今年はこの仕組み化の実現に向けて進めていきたい。