2019年8月29日木曜日

仕事の人格

北野です。

先日ある会員様のリーダースタッフさんから、

「この役割を担うようになってから、自分の性格が変わった気がします。
 自分が変わっているようで怖いこともあるですが、
 みんな、こんな感じなんでしょうか?」

というご相談をお受けしました。

自分の本当の性格は、もっと大雑把なんだけど、
周りの粗さが目に付いて細かく見るようになり、
口うるさくなってしまうようになっている。

という状況のようでした。

個人的には、
「プライベートの人格と、
 職場での人格は別物になる」
という考えです。

仕事をするうえでは、
「立場」や「振舞うべき姿」という「在り方」が重要になります。

むしろプライベートの人格のままでは
職種により対応できないことも出てくるでしょう。
まして、リーダーという役割を担うのであればなおさらです。

院長先生方は、勤務医から開業というプロセスを経て、
自然と「院長」や「経営者」という
「立場」に順応していかれていることでしょう。

これはある意味、借金を背負うという自身で選択した道への、
責任や恐怖など感情による強制力が働いた結果であるとも言えます。

しかし、スタッフの方々は、
自身で決めるというプロセスを経ることなく、
立場が変わることが多いため、
上記の相談のような自身の変化に
自己完結で対応しなくてはなりません。

特に天才型と言いますか、
院長という立場に苦労せず順応された先生は、
そういった不安や悩みがあるということ自体を
知らないことも多いでしょう。

こういった心情への配慮が有るか否かが、
リーダーの成長に影響するのではないかと考えています。
皆さんの病院のリーダーは、
実はそういったことで悩んでいるかもしれません。

是非、注視してみてあげてください。

2019年8月23日金曜日

健康経営

北野です。

ここ3ヶ月で複数の会員様から、
「従業員の心身を考えた取組を行いたい」というご相談をお受けしました。

働き方改革関連法などの施行により、
残業時間削減や有給取得などの取組は進めているが、
外来や手術も多くとても忙しく、これだけではスタッフが心配だということです。

従業員50人以上の事業場は労働安全衛生法で産業医を選任や
ストレスチェックの実施が義務付けられていますが、
多くの動物病院様がこの対象外となります。

採用難時代でもありますし、従業員の定着化のためにも、
長く働ける職場づくりはますます重要になってくると感じています。

こういった視点で最近注目されてきているのが、「健康経営」という概念です。

経済産業省の定義によると、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています」

また、こういった健康経営に取組む法人を認定する制度として「健康経営銘柄」の選定も行っています。

■参考 経済産業省 「健康経営の推進」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

中小企業がこの健康経営銘柄の認定を受けるということは、審査内容のハードルを考慮すると難しいかもしれません。しかし、多くのヒントがあるとも言えます。ぜひご覧になってみてください。

横浜市のように市区町村単位で認定を行っている場合もあります。こちらは中小企業が主となるようです。

■参考 横浜市 「横浜健康経営認証について」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/kenkozukuri/kakushu/life_style/ninsho/page01.html


病院で行える健康経営の取組としては食事系・運動系の2種があると考えています。

(1)食事系

一般企業でも多く取り組まれていますが、栄養に配慮した食事を提供するものです。
社食を作るというわけではなく、お弁当を取る、

最近は「オフィスおかん」のように、1品100円で健康的なお惣菜を提供してくれるサービスもありますし、院内に自由に飲める野菜ジュースを設置している病院様もあります。

食事の企業からの提供については、一定額を超えると、現物付与となり所得税の対象となる可能性もありますが、こういったサービスを利用することでクリアできることもあります。
詳しくは顧問会計士さんにご相談ください。

■参考 オフィスおかん 
https://office.okan.jp/

(2)運動系

スポーツ好きの院長先生の場合に、
スポーツクラブの法人会員に入るというのが多いでしょう。

しかし、残念ながら使われないことも多いようです。
こういったものに代わり、ヨガ講師を毎週招聘してのヨガ教室を病院内で
開催している病院様もおられます。
なかにはスタッフさんが講師を務めている場合もあります。

他にはマッサージ師や鍼灸師を呼んで、
希望者が施術を休憩時間に自由に受けられるなどの取組もあります。


こういった既存スタッフへの取組を行うことは、求人採用においても有効な取り組みになるともいえます。ぜひ、出来る範囲で取り組んでみてください。

2019年8月16日金曜日

パルス型消費

北野です。
Googleが提唱する消費行動モデルにパルス型消費というものがあります。

これは、
「人がスマホを見ているときに偶然見た商品をその場で躊躇なく購入する」、
「あ、あれ買おうと思った時にスマホで探してすぐに購入する」、
などの瞬間的な購入行動のことを言います。

スマホが普及し、消費行動がすぐにできるという環境が広がり発生してきました。
これらのパルスを発生させるために必要なポイントが6つ紹介されていました。

【出典】Think with Google
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/articles/search/shoppersurvey2019-1/

(1)セーフティ
⇒ 「より安心安全なもの」に反応する直感センサー

(2)フォーミー
⇒ 「より自分にぴったりだと思うもの」に反応する直感センサー

(3)コストセーブ
⇒ 「お得なもの」に反応する直感センサー

(4)フォロー
⇒ 「売れているもの」や、「第三者が推奨するもの」に反応する直感センサー

(5)アドベンチャー
⇒ 「知らなかったもの」や「興味をそそるもの」に反応する直感センサー

(6)パワーセーブ
⇒  「買い物の労力を減らせること」に反応する直感センサー

動物病院の場合には、ネットショップを開設している場合や
ネット予約を用いている場合を除いて、
オンラインで購入が完結することは難しいといえます。

ただし、病院を探すという行動時においては
情報発信方法のヒントになると考えています。

パルス型消費に沿って、自院に興味を持ってもらうためには下
記の点を考慮すると良いでしょう。

(1)セーフティ ⇒ 病院の実績や取組例を伝える
(2)フォーミー ⇒ 病院のコンセプトを伝える
(4)フォロー ⇒ 病院の口コミや飼主様の声など客観的評価を増やしていく
(5)アドベンチャー ⇒ 代替医療や新たな治療法などを伝える

パルス型消費は小売中心の消費行動モデルになりますが、
その考え方はサービス業にも十分にヒントとなります。

自院の情報発信において、ぜひ取り組んでみてください。

2019年8月9日金曜日

技術革新による新サービス

北野です。

来年春から次世代の移動通信方式の5Gが順次スタートします。
現在の4Gと比較して5Gは100倍速くなると言われています。

5Gになるとま2時間の映画が数秒でダウンロードできるほどの速さです。

さて、動物病院業界において、
通信速度が早くなることによる変化についていくつか考察したいと思います。


(1)画像診断の外部委託

現在もCT読影などの診断を専門病院へ
外部委託されている病院もあるかと思いますが、
これがより加速すると思われます。

通信速度が速くなると、
遠隔の専門医とリアルタイムでライブ診察が可能になるかもしれません。


(2)遠隔診療

人医療では数年前から始まった遠隔診療ですが、
動物病院業界ではまだまだ進んでいません。

障壁には色々とありますが、
通信速度の高速化により、高品質の映像による
飼い主様とのコミュニケーションが可能となります。

これにより、より正確な状況確認ができるようになるかもしれません。


(3)往診の精度向上

遠隔診療と合わせて往診もよりチャンスが広がるようになるでしょう。
特に動物看護師が国家資格となることにより、
医療行為ができるようになる見込みです。

こうなると、獣医師の代わりに看護師が訪問することが可能になります。
これまで往診は獣医師が訪問することによる生産性の低さが課題でした。
こういった点が解消されると思われます。

動物の飼育者の高齢化も進んでおり、老々介護という状態も出てきています。
往診のニーズは益々高くなるでしょう。

通信規格が変わるということは、
コミュニケーションの変化があるということです。
他にもできることは多々あるでしょう。

5Gの普及は都市部を中心に始まるとみられますが、
数年先を見据えた体制作りを行っていただきたいと思います。


2019年8月2日金曜日

最低賃金引き上げに向けて動物病院で対応すべきポイント

北野です。

7月31日に行われた中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)にて、
最低賃金引き上げの決定が決まりました。

全体では4年連続で約3%の上昇率となり、
東京都と神奈川県では1000円を超えることになりました。

この上昇率が続くと2023年には全国で1000円台になります。

これを受けて動物病院として対応を検討すべき点をいくつかご紹介します。

(1)初任給の見直し

看護師・トリマーの初任給の多くが最低賃金を基準に
決められていることが多いでしょう。

最低賃金上昇に伴い、初任給などの賃金改定が必要となります。
また、初任給とのバランスを考慮して既存スタッフの給与改定も
合わせて必要になるかもしれません。

また最低賃金は毎年10月1日に改訂され、毎年上昇する見込みです。
毎年の給与改定を行うことも可能ですが、数年先を見越した改定を行うことも必要です。


(2)省力化の推進

このブログでもたびたび取り上げていますが、
機械・システムの導入による省力化を検討することも重要です。

先日お伺いした会員様ではセルフレジの導入により、
・会計業務がなくなり受付業務の時間減
・診察終了後の会計チェック時間が大幅に削減
などの効果が出ているとのことです。

今後もブログなどで情報提供を行っていきますが、
省力化はますます重要になると考えています。


(3)シフトパターンの検討

パートタイムスタッフを雇用している場合は、
扶養控除範囲での勤務などにより、
現在よりも勤務可能時間が減少する可能性があります。
シフトパターンなどの見直しを行うことも必要になるでしょう。


(4)助成金の検討

病院内で最も低い時間給を一定額以上引き上げつつ設備投資を行う場合など、
給与を改定する場合に助成金が申請できることがあります。

助成金申請には諸条件が必要な場合もありますが、
有効に活用したいところです。

適応可否などは事業所により異なりますので、
顧問社労士さんなどにご相談ください。


(5)求人資料の見直し

意外と忘れがちなのが求人資料の見直しです。

給与改定などにより、初任給の変更があった場合には、
既に出している求人資料の給与額の更新が必要になります。

最低賃金を下回っている場合には求人の掲載自体が出来なくなる場合もあります。
計画的に見直しを行っておきましょう。