2022年6月17日金曜日

価格の参照点

北野です。

7月からフードの値上げもあり、その他の値上げについての相談が増えている。


値上げは上手に行えば利益増に繋がるが、マズい値上げは不満拡大となるため、進め方に注意が必要となる。


人の価格に対する思考として、「もともとの価格」や「相場価格」などを基点としてもっている。この起点を参照点と呼ぶ。


動物病院の場合は自由診療のため、相場価格がほとんど存在しないので「もともとの価格」である「自院の定価」が参照点となる。


また動物病院は多くのメニューが物販のような仕入れ価格に基づく価格設定ではないため、原材料価格高騰による値上げという説明がしにくいモノも多い。


人は損失を嫌がる「損失回避性」を持っている。そのため、得をするより損をするほうが、与えるインパクトが多いことになる。


この心理法則を利用した値上げ手法として、「値引き終了」というものがある。


これは、

1000円の定価を1200円に値上げする

②定価1200円のものを値引きして1000円で提供してきたが、1200円に戻す


という2つの方法だと、

①は200円の値上げという単に損を感じさせるのに対して、②はお得感の消失となるが今までの徳があった分、不満が生まれにくいという。


これらを考慮すると、単に値上げするよりも、今まで企業努力で割引していた価格を定価に戻すという案内が最も理解度を得やすいと感じる。


ますます価格には敏感になっていくと思われるため、心理面などを上手に活用していただきたい。